水と油
MAZDA好きというマイノリティが、市場規模では絶対王者のトヨタ車をやたらと毛嫌いする傾向にある。端から見れば「嫉妬なの?」なんて思われてしまっている節もあるようだ。しかし多くのMAZDA好きにとっては、MAZDAがTOYOTAのようにバカ売れすることに全く興味はないし、ある程度の規模でこの「オンリーワン」な自動車メーカーが未来永劫に存続してくれればそれでいい・・・くらいに思ってたりする(断言)。しばしばそのアツさゆえに「宗教」や「信者」みたいに言われてしまっているが、私自身を含めクルマとの出会いの過程で車歴が「トヨタ車」→「マツダ車」となった人は、MAZDAに乗り換えた瞬間に強烈な「電撃」を食らったりしているはず・・・そして以来ずっとMAZDAを乗り継いでいるというケースが多いのでは!?
ほぼハマる
「トヨタ」→「マツダ」への乗り換えは「後戻りできない」という意味で危険だ。誤解を恐れずに言ってしまえば、日本で市販される国内外の総合自動車メーカーの中で、もっともソフトな乗り味の「トヨタ」から、最もハードな乗り味の「マツダ」へと乗り換えることによって、その途中に点在するメルセデス、スバル、日産、BMW、ホンダなどを全てスッ飛ばしてしまっているわけで、当然ながらその「振り幅」から強烈なインパクトを受ける。例えばBMW辺りからMAZDAへの乗り換えならば、そこまでの「中毒性」はないのだろうけど、トヨタからMAZDAは総合メーカー同士で最も大きなギャップがあると言っても過言ではない(ゆえに余計にMAZDAにハマってしまう)。両社の設計方針が根本的に大きく異なるわけだから、そのベクトルは限りなく真逆に近く、あらゆる項目(パラメータ)でもことごとく味付けが違う、結果的に運転感覚はまるで違う。
クルマとは「感動」だ!!
今から8年ほど前に「カローラランクス(2003年製)」から「GHアテンザ(2012年製)」に乗り換えた(現在は2020年製CX-5)。当初(3000kmくらいまで)はMAZDAの「ゴツゴツ」した乗り味と、制御が難しいレベルで効く「ブレーキ」にカルチャーショックを受けた。これはフラッグシップセダンではないのか!?・・・しかし高速道路やワインディングを走るとすぐにMAZDAの虜になった。今まで乗っていたトヨタ車とは一体なんだったのか!?MAZDAとTOYOTAを同じ「乗用車」と表現していいのか!?(これはブログに書くべきだ!!)。
不毛な批判はやめよう!!
2021年の現在では、MAZDA記事に押し寄せて来て、思いつく限りのネガティブキャンペーンを繰り広げるTOYOTAユーザーがネットの日常的な光景になってしまったが、この半端ない「落差」を経験したことがない人の意見&コメントは基本的には無意味じゃないかと思う。自動車評論家にも同じことが言える。TOYOTAとMAZDAが端っこと端っこに位置しているとすら認識できていない連中が書いたMAZDAやTOYOTAの記事を読むなんて全く時間の無駄でしかない。今のクルマ作りには「振り幅」がないとか言われている。同じSUVばかり!?・・・いやいやカーメディアやユーザーが経験してないだけじゃないの!?TOYOTAとMAZDAの間にはそれぞれに相容れないクルマ作りの「カタルシス」が今でもハッキリと存在する。それを証明するのがTOYOTAを毛嫌いするMAZDAユーザーの存在だ。彼ら(自分も含む)の感覚を「言語化」してみるとしよう。TOYOTAからMAZDAに乗り換えたユーザーが絶対に後戻りできないと思わせるポイントを5つ挙げてみる。
第5位 ハンドリング
ユーザーごとに好みがあるのはよくわかっている。マーケティングを重視してテストドライバーがハッキリと緩く作っていると認めるTOYOTAと、徹底してこだわってピーキーに仕上げるMAZDAの違いが端的にわかるポイント。フロントがストラットでリアがトーションビームだったカローラランクスから、フロントがダブルウィッシュボーンでリアがマルチリンクなGHアテンザに乗り換えたのだから、フェアなジャッジとは言えないかもしれないが、もはや「次元が違う」としか表現できなかった。その後にGHアテンザに乗ってレクサスIS350に試乗に行ったが、これも車重差が災いしたようでIS350のハンドリングになんら感動はなかった。
多くの読者の反感を買ったかもしれないが、ブログで「半世紀も専用設計スポーツカーを作って来た稀有なMAZDAがそこいらの総合自動車メーカーにハンドリングで負けるわけがない!!」くらいのことを書いた。作る側の気持ちを斟酌(忖度?)すれば妥当な結論だと思う。ちょっとややこしいけど、TOYOTAのハンドリングが決して悪いわけではない、メルセデスやスバルの標準的なモデルに比べればむしろ軽快さが評価できるくらいだ。しかし到底だけどMAZDAの代わりにはならない。ハンドリングで選ぶならば、TOYOTAよりもBMW、アルファロメオ、ホンダといったブランドがMAZDA基準では良い印象だ(3ブランドともに日本では少々買いにくいのが残念だけどさ)。
第4位 レスポンス&リニアリティ
ハンドリング以上に気になってしまうのが、アクセルのレスポンス&リニアリティだろうか。「動き出し」も「中間加速」も「高回転域の伸び」でキビキビと動く性能は、TOYOTAの日本向けマーケティングにおいて「ほぼ不要」だとして切り捨てられている。エンジンのスペック自体は大きな違いはなさそうだけど、ディーゼルエンジンでさえある程度の回転域まで回そうとするMAZDAのリニアリティ重視の姿勢は、おそらくTOYOTA陣営にはほぼほぼ理解不能だろう。
排気量の多寡に関わらず、MAZDAエンジンは、1500rpm前後の「巡行」と3000rpm以上に達する「高回転」の二階建てで設計されているようだ。CVTと組み合わされるエンジンは、だらだらと回転数が上がり気がついたらフェードしていく傾向がハッキリ出る。もちろん「燃費の目玉」を追求しているのだから間違ってはないけど、そんなエコなエンジンとは異なり、かなり明確に「モード」が切り替わる感触こそがMAZDAエンジンらしさ。この素晴らしい「拘り」を全く評価もせずに、ただただ「モード燃費が悪い」などと切り捨てるカーメディアがあまりにも多いことに閉口する。
レスポンス&リニアリティへのこだわりをブランド全体で一貫しているのはMAZDA以外にはポルシェ、ジャガーくらいなものだろうか。あるいはアウディの「S」モデルばかりを探して購入する人が、何よりも大事にしているのが「レスポンス&リニアリティ」だと思われる。そんな「拘り」を理解し共感する人(MAZDAファン)には、多くのTOYOTA車の電動化エンジンだったり、廉価なドイツブランド車に搭載される過給エンジン(上まで回らない2Lターボとか)は全く視野に入って来ない・・・。
第3位 ブレーキ
初めてMAZDA車に乗った時に強烈に印象づけられたのがブレーキの制動力。最初は上手く止めることすらできなくて、なんじゃこりゃ!?って感じだったけども、要するに加速と制動の感覚は「対」になっていて、両者のバランスをとって違和感が起こらないように開発するものらしい。つまりレスポンス&リニアリティにこだわるPORSCHEや、PCCS(ミスファイアリングシステム)を市販車に搭載した往年の三菱などはブレーキも強烈によく効く。PORSCHE、三菱、MAZDAは「ブレーキ御三家」とか一時期ブログに書いていたけども、日産やメルセデス(横置きエンジンモデル)のブレーキもなかなかすごい。
一度MAZDAに乗ってしまうと、TOYOTA車に再び乗った際に制動距離がイメージとだいぶ違って戸惑う。もちろんクルマの重量やサイズによっても変わるのだけど、100km/hからのフルブレーキングでの制動距離は、「カローラランクス(車重1100kg)」と「GHアテンザ(1400kg)」では某雑誌のテスト値で5m近く違う。同じブレーキングのタイミングで横断歩道の手前で止まるかオーバーランするかの違いは大きいし、実際に乗ってみるとだいぶ違う。車重があるGHアテンザの方が良く止まってしまうのだから、両社の方針が決定的に違うことがわかる。個人的な印象として「ブレーキ効かない御三家」はTOYOTA、スバル、BMWでしょうか・・・(某カーメディアのテストで裏付けあり)。
第2位 ミッション
MAZDAは2ペダルは全てトルコンAT(横置きは自社製、縦置きはアイシンAW)なのに対して、TOYOTA車の多くはCVTを採用している。混雑する街中で配達業務に就くクルマならCVTを選ぶべきだけど、ドライブを楽しむ趣味のクルマならトルコンATの満足度が高い。単純にMAZDAとTOYOTAが用途や環境に応じて作り分けているだけなので安易な優劣を語る気はないのだけど、高速道路を100km/h巡行をしている時にミッションが摩擦で熱ダレをする様子を想像すれば、明らかに高速域では異音を伴って回るCVT(グレードによって質感は違いますが)の質感は色々な意味であまり好きになれない。CVTの方が壊れやすいという統計データがあるわけでもないのだけど、なんか繊細な部品が「グリグリ」しているような唸りをずっと聞き続けるのは精神的に嫌だ。欧州メーカーがCVTを使わない理由もこの辺にありそう。
トルコンATやCVTの選択はあくまで使い勝手の問題なんだけども、MAZDAとTOYOTAがそれぞれに「理想」とするクルマ像は、ミッションの選択に大きく現れている。スカイラインやフェアレディZにはトルコンATが使われ、セレナやエクストレイルはCVTが配置されている。かつてはスカイラインにCVTを組み込んだ時期もあったけど、紆余曲折を経てトルコンATにV6ターボの組み合わせに落ち着いた。日産という理詰めのメーカーにおいて、トルコンATとCVTの選択はラインナップの分断を示し、不可逆なものになっている。つまり全てのMAZDA車とほとんどのTOYOTA車の間には大きな分断があるのだけど、それをまるで無視したようなレビューやコメントが量産されているのも事実であり、これは書き手(ライターとクルマファン)の認知レベルがお話にならないくらい低レベルなことの証左だ(とずっとブログで主張してきた!!)。
第1位 250km/h対応
MAZDA好きはハンドリング、レスポンス、ミッションについて言及することが多いけど、やっぱり根本的な違いはここだ。グローバルモデルとして設計されるMAZDAと、多くが国内専売モデルとして設計されるTOYOTAでは、高速道路で100km/h巡行した時に明らかに安定感が違う。ドイツのアウトバーンの左車線(追い越しレーン)を走る規格「250km/h対応」がされているMAZDAだと、ワインディング度が高い中央自動車道でも100km/h巡行は遅く感じるくらいだけど、TOYOTAの国内専売モデルでは同じ速度域においても、フロントの接地がかなり怪しくなる。あらゆる速度域でも冷静にレーンチェンジができるくらいに安定感があった方が、幹線国道や首都高を走るに際してストレスが少ない。そしてMAZDAの直進性は折り紙付きだ!! 俄かには信じがたいかもしれないが、某カーメディアが行った直進安定性のテストで、現行のMAZDA6はドイツの雄BMW3シリーズを相手に「圧勝」という評価を頂いている(FFなので当たり前ですけど)。
レクサス車の上級モデルもやはり250km/h対応がされているけども、FRという設計ゆえにMAZDAほどには安定感はない。高速道路上で停車中に100km/hの他車に突っ込まれたら助からないかもしれないが、衝突安全性に関してもMAZDAはレクサスを軽く上回る水準(総合メーカーでは頂点!?)なので、一般道でも高速道路でもMAZDA車は最も安全な部類に入ると思われる。もし道路上でわけわかんない輩に因縁をつけられても、涼しい顔で落ち着いて対処できる。そんな心強さこそがMAZDA(フラッグシップ)の最大の魅力だと思っている。
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