マウンテン・ゴリラのカーライフ

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NHKクロ現「ガソリン車ユーザーをどう始末すればいいか?」

 

ガソリン価格の闇

ガソリン価格の高騰が1年以上続いていて、政府のガソリン補助金が延長されている。ガソリン価格の上昇を一定に抑える政策だけど、夏休みに178円/Lくらいだった価格が10月末日では161円/Lくらいまで下がっている。利用していたスタンドでは9月30日までクーポンで3円/L引きをしていたから、どうやら業界全体で9月までは「特別料金」なるものがあると思われる。NHKの「クローズアップ現代」が物価高を象徴する問題として取り上げていた。

 

番組冒頭からガソリン税と消費税の二重課税が憲法違反に当たるという批判があることを示し、幅広い視聴者の関心をを惹きつける。ついつい最後まで見てしまった。円安や世界情勢による仕方のない価格上昇ではなく、政府の課税方針でいくらでも対応可能もあり批判が出る。1L当たり53.8円に及ぶガソリン税暫定税率に、諸々の環境税が上乗せされ、そこに消費税10%を掛けることに疑問の声が上がっていた。

 

 

及び腰なNHK

53.8円の内の25.1円は道路財源の暫定税率として1974年から定額で維持されている。2007年に一度は期限切れを迎えたが、道路の特定財源だったものが一般財源に変わり53.8円を維持する立法が行われた。その際にトリガー条項が設定され、160円?Lを超えると25.1円分が停止される制度だったが、東日本大震災復興財源として利用するためにトリガー条項を凍結する特別立法も行われている。

 

番組内でこのゴチャゴチャした状況を説明するわけでもなく、とりあえず「二重課税には当たらない」「トリガー条項は凍結されている」示しただけだ。政権与党に首根っこを掴まれているNHKにはもはやガソリン税の闇を語ることはできないようだ。番組内で強調されたのは、トリガー条項によりガソリン税は1兆円を超える規模の減収になり、たとえ物価対策とはいえ簡単には決断できないものであり、補助金での対応は妥当な選択であるというものだ。おそらく切り取りをされたであろう専門家のVTRによってこれらは説明されていて、視聴者からNHKへの直接の批判を避ける演出が透けて見える。

 

 

 

6兆円はどこに流れている!?

この専門家の意見もわからないでもないが、やはりNHKが意図的に取り上げない内容への批判は免れない。例えば日本ではガソリンよりも軽油が安い。これは徴税の仕組みが違うことに由来する。トラックやバスに使われるディーゼル車に課せられる軽油引取税は、ガソリン税とは取り扱いが異なり、1L=53.8円の暫定税率ガソリン税なので、50L入れると2690円のガゾリン税が課せられ、さらに10%の消費税が課せられるが、軽油引取税には消費税はかからない仕組みになっている。ガソリン税も同様の扱いをすれば単純に1L当たり5.3円下げることができるし、二重課税という批判も免れる。

 

1974年度に創設した53.8円を断固維持するなど、税制は財務省(大蔵省)の官僚が真摯に取り組んできた血と汗と涙の結晶である。政権交代があろうとも50年近く守り続けてきたわけだ。そう簡単には変わらない。日本の危機的な財政状況を改善するために、財源の安定確保は欠かせないとはいうけども、消費税まで含めたガソリンからの総税収が4兆円規模なのに、補助金が6兆円/年度に達している。6兆円のうち半分以上は事務費に回っている。この状況はもはや闇でしかないが、NHKでは絶対に報道できないだろう。そのうち内部告発などあって巨大スキャンダルに発展しそうだが・・・。

 

不公平とは!?

30分番組の中盤に差し掛かった頃から、大手一般メディアらしい独特の論調に流れ始めた。テスラやBEVに舵を切ったドイツメーカー車にしか興味がない大手マスコミの人にとっては、ガソリンのみに特別に補助金が出されていることに「不公平感」があるらしい。消費税に加えて一般財源としてガソリン税暫定税率を負担し続けてきた部分を一時的に還付しただけなのに「不公平」はやや納得がいかない。

 

BEVの普及のためには補助金は必要だけども、BEVとPHEV合わせて新車販売の3%しかないユーザーに総額で750億円/年度の補助金が出されている。新車販売の91%を占めるガソリン車(HEV含む)と既存車の大半がガソリン車であることを考えると総額で6兆円/年度のガソリン補助金は決してBEVユーザーとの不公平とは言えない。

 

 

世帯別の・・・!?

クルマを使わない都市部に在住するユーザーも、日常的にスーパーで食料品を買うだろうし、外食も使うはずで、食料自給率が0%台に落ち込んでいる東京都や、1%程度の神奈川県、大阪府に在住する人々もガソリン価格の低減によって輸送コストの高騰は少なからず抑えられるのだから恩恵はある。まあトラックやバスのほとんどはディーゼルだけども、ガソリンだけでなく軽油にも補助金が同等の補助金が出ている。

 

ガソリン税制の成り立ちを明確に説明することで政権与党から睨まれることは避ける。そんな腰抜け番組が用意した独自のデータが、世帯年収に応じたガソリン消費量の比較だ。年収300万円世帯よりも年収1000万円超の世帯の方が、平均で1.5倍くらいガソリン消費量が多いので、生活に余裕がある世帯に補助金がより多く還流していると指摘している(EV補助金はどんな世帯に給付されているんだ?)。これがNHKの精一杯の政策批判なのだろうが、当然だけどこの指摘はそのまま消費税の減税にも当てはまってしまう。

 

 

ガソリン高いからBEVとは・・・。

自民党のご機嫌を伺いつつも、ガソリン価格高騰の問題提起から、ガソリン補助金が財政を圧迫しつつ、国民の間に不平等感を生み出しているなどの諸問題をマイルドに展開して、番組後半に差し掛かった。補助金注入は時限的な政策に過ぎず、限られた時間の中で急速にEVシフトを進めるべきだという予想通りの内容となった。ガソリン車大好きなAJAJの高齢者の出番はないようだ。

 

ガソリン補助金に6兆円/年度も使うくらいなら、100〜200億円規模/年度しか設定されていないEV充電設備の普及に本腰を入れるべきだと世論を誘導している。経済産業省が現状で3万口の公共充電器を2030年までに30万台に増やす方針を立てた。政府にどれだけの補助金が用意できるかは不透明だけど、自動車販売店、商業施設、ネクスコの努力によって急速充電器3万口、普通充電器27万口を目指すらしい。

 

 

より不公平感が増す!?

同時に2035年までにBEV、PHEV、HEVなど電動車以外の販売を禁止する方針らしい。トヨタのHEVで最も安いヤリスでも本体価格は200万円を超えてしまう。さらに長距離を快適に移動できるサイズのHEVだと400万円くらいになる。すでにクルマは金持ちの贅沢品になっているけども、その傾向が一層強くなることが予想される。ガソリン補助金で世帯間の不平等を煽っておきながら、さらなる不平等へと議論を飛躍させるNHKに滑稽さを感じるのは私だけだろうか。

 

ガソリン車にばかりこだわっていて、EVシフトへの世論を打ち消すことに必死になっているクルマ好き界隈の「化石人間」を、どうやって始末していけばいいか?EVシフトの課題は車両価格・インフラ・自動車産業の雇用など様々あるけども、反対派を黙らせるために、その拠り所となっているスバルやMAZDAといった北米向きのメーカーも国策で日本市場から排除されてしまうかもしれない。