マウンテン・ゴリラのカーライフ

最高に面白いクルマのブログを作りたい!!(もちろん全編フィクションです)

フェアレディZ <日産車は格が違う>

 

貴族趣味の賞味期限

ゴリゴリのグランドツーリングカーが欲しい。ゴリゴリとは・・・周囲から「よくそんなクルマ乗るね・・・」とちょっと呆れ半分に言われちゃうクルマ。日本メーカーが最も苦手としているジャンルかもしれない。現行モデルだとアストンマーティンDB11、ポルシェ911、日産GT-Rなどなど。残念ながらホンダNSXは廃盤になった。レクサスLCは健全でヘルシーなブランドイメージのせいかもしれないが、ちょっとキャラが違う。イタリアンスーパーカーと比べても負けない商品力ってのは、GT-Rの水野さんが言うように巨大資本の最大手メーカーであっても難しいようだ。

 

残念ながら昨今の自動車供給不足で、ゴリゴリなクルマは中古車であってもなかなか非現実な価格帯である。しかも維持費も桁違いに高い。一般の乗用車は、駐車場&保険を含め年に50万円くらいで収まる。駐車場が月1万円くらいならもっと安く抑えることも可能。しかしGT-Rだと保険と部品交換で年100万円くらいにかかるらしい。ポルシェ911も車検が1回70万円とか桁違いの金額だと知り合いのオーナーが言っていた。保管場所も青空駐車場で済むはずもない。最低でも月10万円くらいするガレージハウスを借りたりするらしい(そこに住むことも可能だけど)。

 

 

 

「引きこもり貴族」の時代

クルマ好きなら考えもしないことだろうけど、一般人の感覚だと1000万円あったらクルマなんて買うより、ゲームに課金した方が楽しくて安全に生活が送れると思うらしい。確かにドライブよりゲームの方が夢中になれるかもしれない(夢中になり過ぎたドライブはちょっと怖い)。クルマへの憧れはあるけど、現実には「事故」「当て逃げ」「悪戯」「路上トラブル」「交通取締」「車両窃盗」「渋滞で雪に埋もれる」「火山灰&雹」など様々なリスクばかりで悩みは尽きない。

 

それでもプライベートな移動で電車やバスを使うするよりは、マイカーがずっといいと思う。座席指定で得体のしれない隣人と同じ空間にいるのは、想像するだけで耐え難いものがある。ずっと部屋でゲームしているのも良いのだけど、たまにはクルマで外出して海の近くでアジフライでも食べてみるのもいい(但し平日限定)。ロードバイクで気楽に行ける距離ならいいけど、往復200km超えるといくら平坦ルートでも運動不足の体にはちょっと辛い。

 

 

 

絶対タイパ主義・・・

そんな「しょうもない理由」が意外と熱烈なクルマの購入動機になったりする。さてどんなクルマにするか?近隣でよく見かけるハリアーやCX-5などは止めよう、ロードスターや86もなんか違う気がする。ロードバイクが完成車価格160万円のサーベロだから、クルマはやっぱりアストンマーティンだ!!・・・と言いたいけども、2000万円はさすがに規格外だ。(これはフィクションです。筆者はF○JI & M○ZDAユーザー。)

 

このような現代社会が生み出しつつある「貴種なライフスタイル」を営む人々にとって、新型となり非常に入手困難になっているという日産フェアレディZは、かなり需要があるのではないかと思う。公共交通機関を使うのも嫌がる潔癖症な人々にとっては、車中泊やキャンプなんてとてもじゃないが無理だ。ドライブするだけなら2シーターのグランドツアラーで十分だ。日本中にわずか5000円で泊まれる宿泊施設があるのだから、地域振興に貢献するつもりで気分良く泊まって、夜はウィスキー飲んで、地元の美味いものでも食べればいい。

 

 

 

人生は有限だ

クルマが好き過ぎる人ならば知識が十分にあるので、どんなクルマを選んでも満足にカーライフが楽しめるだろうけど、そこまでじゃない人には、「つまらないクルマでのドライブは人生のムダ」みたいな価値観は当たり前にあるだろう。ロレックスがよく売れるのと同じ原理で、「非日常」なグランドツアラーもそこそこ売れる。100万円以上の高級時計を使う人に見合ったクルマとなると、とりあえず「GT-R」か「911」ってことになるようだ。

 

実家の隣人のオッサン(アラフィフ)も自然吸気の991を買っていたが、話を聞いてみると、好んで使っている品々の敷居の高さにはちょっと驚かされる。とても理にかなっているのだけど、「家の外では絶対に安物を使いたくない」という意識がとても高い。そんな「上流志向」な人々にとって、もっともお手軽な入門車がフェアレディZだったりする。日産もステージの違いを意識してなのか、三菱、スバル、MAZDAなどの最も高いクルマよりちょっと上くらいを目安に価格設定しているのかもしれない。

 

 

 

完璧主義の日産

Z34のビッグマイナーチェンジとして登場した新型フェアレディZには、スカイライン400Rと同じハイチューン版のVR30DDTTが搭載される。このエンジンの開発時期は10年ほど前に遡るのだけど、当時はメルセデスBMWアウディの中上級モデルにモジュラー化された3Lの6気筒ターボが広く使われ出した頃だった。日産はこれらドイツ3陣営の3L6気筒ターボユニットのスペックをシビアに睨んだ上で、どこにも負けないスペックを条件に開発した。かつては「901運動」と決起した遺伝子はゴーンが来たくらいで根絶やしにはならない。

 

手組みでもないライン生産のガソリンターボエンジンなのに、最高出力時には6400rpmまで回る。ドイツメーカーの同クラスユニットでは4000〜5000rpmがMAXであり、3Lの6気筒ではポルシェだけが唯一VR30DDTTのレベルに達している。エンジンこそがアイデンティティだったはずのドイツメーカー達は、日産によって完全に頭を抑えられている格好だ。そしてそんな日産がどこよりもBEV化を推進してしているのだから、どこまでも恨めしい。完全にコケにされている。

 

 

 

EVシフトは完全に日産のせいだ・・・

V6ターボで8000rpm(但し手組みユニット&低回転はモーターアシストあり)まで回してしまうフェラーリのようなスーパーカーブランドを除けば、フェアレディZシビックtypeRがそれぞれ6気筒ターボ、4気筒ターボでは世界の頂点に位置している。この2台がそれぞれ500万円前後で買えるのだから、欧州陣営がエンジンを諦めてEVシフトに走らざるを得ないのも道理だ。日産&ホンダのエンジンにどうやって対抗すればいいんだよ!!

 

トヨタスープラも素晴らしいスポーツカーでありグランドツアラーであると思うけど、中身は某ドイツメーカーのコンテンツであり、外注先のオーストリアの工場で組み立てされていることは広く知られている。ドイツメーカーの量産6気筒ターボでは、VR30DDTTを相手にするにはちょっと分が悪い。フェアレディZシビックtypeRが発表間も無くオーダーもできない状況に追い込まれるのも、スペックなどの情報がユーザーに伝わる過ぎる部分もあるのかもしれない。ちょっと調べれば買うべきエンジンはすぐにわかる。「本物」が入手困難になるのは仕方がないことだ。

 

 

 

高級GTカーの定義

MAZDAなどの「スポーティに走れる乗用車」をベースに、クルマの価格を考えていたら、ユーティリティが皆無なレベルのフェアレディZスープラは、ちょっと法外な価格に感じるかもしれない。だからといってそんな顧客のニーズに合わせようとしたところで、86やロードスターでは、逆立ちしてもグランドツアラーとしての「非日常」な雰囲気にはならない。「品格」を重視してきた日産こそが、欧州の高級グランドツアラー作りに一番近い日本メーカーだと思う。

 

日産車の価格を見ればわかりやすいが、日本車だと現状では「500万円」がラインになっている。それ以下の乗用車は「一般向け」、それ以上なら「高級車」に区分できる。そして「2座」の乗用車が「高級車」区分の価格帯に入れば高級グランドツアラーになる。同じく輸入車(スープラはこちらの枠?)だと、このラインが「1000万円」になる。日本価格からドイツ車の車格を判断する基準だ。現状ではドイツ勢を徹底的に潰した優秀なエンジンが商品性の要になっているフェアレディZだけど、今後BEV化された時には、同じような評価が得られるとは限らないが・・・。