マウンテン・ゴリラのカーライフ

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リーフ <日産車は格が違う>

 

価格変動が激しい

2023年2月現在の日産リーフは、40kWhクラスが408万円〜、60kWhクラスが525万円〜となっている。東京都在住ならばざっくり120万円の補助金であるので、今のところはエンジン車のコスト感覚で買える唯一の普通車BEVである。これでも一応は大幅値上げが実施されている。米テスラ、韓ヒョンデ、独VWが売る気満々の価格で日本に導入されているが、日産は日本でのBEVの普及はまだ先だと考えているのだろう。

 

テスラだろうが日産だろうが「ロングレンジ」モデルであっても500kmを充電無しで走破するのはかなり難しいようだ。満充電で450km程度という「モード電費」が出ているけど、バッテリーは劣化防止のため80%までしか充電させない仕様になっているので、現実には360km程度がギリギリの航続距離になるようだ。しかも急速充電30分で100km程度しか充電できないらしい。東京から西伊豆だと往復400kmくらいあるので無充電で行って帰ってくることもできない。目的地が箱根(往復200km)であってもアップダウンがかなりあるのでキツい。

 

 

BEVの本当の価値

BEVがエンジン車の純粋なる上位互換としての万全の機能性を有しているならば、どのメーカーも全モデルにBEVグレードを設定するだろうけど、現実には面白いくらいに「ねじ曲がった」関係になっていてメーカーは二の足を踏んでいる。「クルマ本来の自由さ」「利便性の担保」を考えれば、半世紀に渡って支配的だったエンジン車の優位は簡単には揺るがない。そんなことは百も承知だけど、それでもBEVにこだわる人の気持ちもなんとなくわかる。その多くは深層心理で「ストイックなカーライフ」を求めているのだろう。

 

鉄道やバスが十分に発達している都市部在住ならば、もはやクルマを所有すること自体が「何らかのインフラ事情」(僻地への通勤、親の介護など)が伴う奇異な行動である。「クルマが好き」「ドライブが好き」「アウトドアが好き」「フィールドワークの研究肌」「冒険が好き」「グルメ」などなど・・・単なるインフラ以外にクルマを絶対に必要とするライフスタイルがあることを認知&理解すらしない人から見れば「バカな出費」に過ぎないようだ。クルマを持たない人からはステレオタイプな否定論が出てくる。

 

 

 

エンジン車がダメだから・・・

BEVだろうがエンジン車だろうが、ライフスタイルへのこだわりという意味で少なからずストイックさは存在する。「生活に使うわけでもないのに都市部在住でエンジン車を所有する人」というカテゴリーの中には、「EVシフト」に対して強烈に批判的な意見の人もいるようだが、BEV愛好家とは特有の「ハードな使用環境」を十分に理解した上で、「創意工夫」が要求されるライフスタイルを率先して選んでいるのだから、周囲がとやかく言うべきではない(お互い様である)。

 

リーマンショック以降の日本メーカーの苦境は想像して余りあるが、結果として「利益率の改善」しか考えていないアイディア不足な面が顕著になってきた。世界中で自動車行政が「EVシフト」をドミノ号令する可能性が高まっているけど、とりあえずはエンジン車が儲かるから作り続ける。開発&生産のリスクは最小限に留めるために、退屈で無難な設計のエンジン車ばかりがラインナップに増える。BEVはとりあえず用意するけども、これで利益を上げるのは難しいようだ。現行のルールでは簡単に従業員をレイオフできない日本メーカーの綱渡り戦略は続く。

 

 

高齢化の弊害

カーメディアはずっと「無謀 & ロマン」といった冷ややかで面白半分の論調だったけど、MAZDAのFRシャシー&直6エンジンは、エンジン車全体の急激な陳腐化を食い止めるという意味では効果的な施策だったと思う。中古のS15シルビア、S2000、RX7が大人気で、新型で高性能なGR86の新車価格を簡単に超えてしまう。20年前に絶版になったスポーツカーだから、最新のクルマの装備と比べれば「便利」なところはほとんど見当たらないけども、それでも「退屈は罪」なのだろう、「無難じゃないクルマ」をストイックに乗る行為に価値を見出している。

 

こだわりのスポーツカーが手に入らないならば、代わりにBEVに乗ってしまおう!!という人は案外に多いのではないか。便利さだったりドライブに手軽さを求めるならば、N-BOX、ライズ、カローラツーリングなどを選んでおけばいい。これらの国内専売の量販車ならば納期が遅いということもない。初心者から高齢者まで誰でも手軽に使えるように、燃費、取り回し、維持費、乗り心地までが最適化されているので至れり尽くせりなのだけど、逆に不便なところがなさすぎて「退屈」「レンタカー向け」と受け止めて敬遠する人が出てきてしまう。

 

 

 

トヨタを動かした日産

そんな「へそ曲がり」なニーズを追求させれば、日本メーカーでも屈指の個性を発揮するのが日産である。2007年にGT-Rを発表した時も、これは誰が買うの!?と世間をキョトンとさせたが、結果的に日本の自動車産業の底力を見せつける看板モデルになった(日産のエンジンに勝てないからEVシフトが進んだ!?)。昨年発売のフェアレディZも、405psのRWDの公道用スポーツカーが6MTで発売されているが、こんな設定はポルシェ、BMWアストンマーティンジャガーといった名だたるGTブランドでも今では簡単にはできない仕様だ。

 

破天荒な日産を見て、トヨタも社長の号令一下で日本向けスープラの6気筒グレードに慌てて6MTを追加したり、レクサスISのV8搭載モデルを日本で復活させた。ハードなクルマにそこまで需要があるわけではないので、いずれも台数が絞られており抽選で購入者が決まる。ランクルにも同じことが言えるが、結果的に所有のハードルが高いクルマばかりが買いにくくなっている。メーカーが意図したことなのだろうけど、とても不思議な状況だ。新型プリウスにしても燃費を捨ててハードボイルドへと舵を切ってきた。

 

 

BEVは楽しい

BEVの検証動画がユーチューバーによって次々とアップされている。トヨタbz4Xには、BEVのバッテリー性能は外気温によってとてつもなく変動するので「不良品ではないです」ということを事前に釈明する取説が付いてくるらしい。穿った見方をすれば、トヨタ陣営による組織的なバッテリーEVに対するネガティブキャンペーンとも受け取れる。追い詰められつつあるトヨタの何とも微笑ましいレジスタンスだ。

 

BEVを扱うユーチューバーを全員見たわけではないが、彼らは一様に「問題解決能力」が一般より高く、高齢者ユーザーが多い日本市場の「過保護」な製品設計に満足しないハングリーさを感じる。また彼らの口癖は「私のようなBEVを熟知している人間なら問題なく運用できるけども。一般のユーザーにはハードルが高過ぎる」が常であり、BEV推進論者(エンジン車否定論者)というよりも、自己研鑽の一環としてBEVのYouTube活動をやっているという印象を受ける。

 

 

正しく使おう

「BEVの利点を説明する」というより「乗るのが難しいクルマの運用術」を動画を通して説明するのがBEVユーチューバーのメインコンテンツとなっている。動画内でどんなトラブルが起こるのか予期できないから視聴者は最後までダラダラと見る。これが完全自動運転でナビに目的地を入れてそこまで勝手にクルマが進んでいく内容だったら見る人はほとんどいないだろう。それにしても、東京から1000kmくらいの距離をBEVで移動とか、真冬の北海道で車中泊とか、エンジン車であってもほとんどの人はそんなことはしない極端なシチュエーションが目立つ。

 

日産リーフがWCOTYを受賞したのは2011年だ。もう12年も経過している。かなりシビアな「危機管理&問題解決」能力が求められるクルマを日産は12年も前に発売した。初代リーフは欧州諸国では主にタクシーとして広く利用されている。渋滞が多い都市部でメリットがあるBEVは欧州や中国では適正に使われている。それなのに日本では真面目な顔して北海道の辺境や高速道路でBEVを検証したり、一方では他国のBEV普及に穿った論調を立てるなど・・・日本でのBEV議論はメーカーの差配もあってかなり捻じ曲げられている。もう少しまともな議論ができるようになるのはいつの日だろうか!?