マウンテン・ゴリラのカーライフ

最高に面白いクルマのブログを作りたい!!(もちろん全編フィクションです)

マイルドハイブリッドは「積極的」に選べるクルマ!!

 

 

誰か説明して!!

ガソリンやディーゼルなどエンジン車の環境への負荷が大きいので、可能な限り「電動化」された車両に置き換えるという意味はよくわかる。しかしユーザーの負担と環境の両立を考えた時に、「電動化」の最有力候補は、BEVなのか?PHEVなのか?HVなのか?の結論がなかなか煮え切らない。某大手メーカーの社長は「ユーザーの選択が今後の全てを決める」と判断を丸投げして態度を明らかにしないが、実際のところはユーザーの選択したものに、いかに利益を載せられるかを総合的に判断して決める腹づもりなのだろう。

 

 

6大派閥

今年(2022年)から、本格的に自動車の電動ユニットの未来を決定する「総選挙」が始まる気配だ。今後のユーザーがどんな動力源のクルマを選んだかによって、その市場の未来が少なからず変わる可能性がある。具体的な選択肢として出てきたのが「BEV党」「PHEV党」「THS党」「e:HEV&e-power党」「FCV党」「MHV党」の6つの党派だ。テスラ全車、リーフ、さらに今年からアリアとbz4Xの販売が始まりメジャーなモデルがどんどん増える「BEV党」の勢いが止まらない。

 

 

 

BEVはプレミアム?コモディティ

「BEV党」の支持者には「路上に前近代的なエンジンはいらない」など非常に攻撃的な主張もあったり、逆にクルマをBEVというシンプルなコモディティに落とし込むことで、不毛でしかないクルマのヒエラルキー文化そのものを破壊しようという立場の人もいるようだ。「EVが買えるくらいの金持ちしか自家用車を持つ資格はない」と考える選民主義な人と、クルマも電気家電も同じと考える現実主義な人が「相乗り」しているところが、やや歪な感じでもある。やがて双方の理解がそれぞれに深まったときに、決定的な決別を迎えるのではないか!?・・・と今後の展開が楽しみではある。果たして世界的な都市の中心部には、待ち時間なし&会員限定の「100kW当たり3万円」のプレミアム爆速充電スポットが誕生するのだろうか!?

 

 

合理的過ぎるPHEV

BEVを同じように周辺の充電スポットの多寡でモチベーションが左右されるだろうけど、当面はガソリン車として使ってEV時代の到来を待つという、非常に現実的な選択肢を好むのが「PHEV党」だ。国の補助金をもらい自宅に10万円程度の充電器を用意しておけば鬼に金棒だ。巨大バッテリーに加えてエンジン(ジェネレーター)も搭載していて、二通りのエネルギー補充が可能で、ガソリン価格が高騰したら自宅で充電し、下落したらスタンドで給油するという、絶えず良い選択ができるのはストレスフリーかもしれない。

 

 

 

技術屋が集まる

PHEVの先駆的な存在で登場から10年近くになる「三菱アウトランダーPHEV」は車重が2100キロにもなるので、その分は消費エネルギーは多くなるわけだけど、車重の増加は乗り心地の良さに繋がると前向きに解釈もできる。新たにPHEVに参入するMAZDAも6気筒用のシャシーを用意したものの、PHEVは車重超過を嫌ってか直4と組みわせることが発表されている。三菱PHEVの定評はすでに高いが、MAZDAが手がけるPHEVがどんな仕上がりなるのだろうか!? 三菱&MAZDAの技術力に定評がある2トップがPHEVをフラッグシップの本命に選んでいるのは非常に興味深い。

 

 

THSからの脱却!?

トヨタの突然のBEV投資の大幅増し発表によって、もはや絶対的な存在ではなくなりつつある「THS党」は、今後の拡大が見込めないどころか、利益率を求めるトヨタにとってはお荷物になりつつあるかもしれない。メーカーとしても発売から25年が経過する「THS」から、新しい電動化ユニットへの転換を考えていることだろう。レクサスのオールBEV化が宣言され、トヨタの現状は「THS推し」でこそあるけど、THSのブランド内販売比率は30%台でそこまで高くはなく、プリウスの販売が低迷気味でこの10年は横ばいかむしろ低下している。。ヤリスからハリアーに至るまで、しばらくはこのまま様子見が続くかもしれないが、今後に「大幅値引き」以外でTHSの比率を押し上げる要素があるのだろうか!?

 

 

 

モーター駆動の罠!?

「e:HEV&e-POWER党」だけども、ホンダや日産は「THS」との差別化を狙って、シリーズハイブリッド寄りの電動車を拡充している。ホンダの「e:HEV」は市販車の頂点を伺うレベルの高いユニットシリーズを狙っているのだろうけど、価格がそこまで手頃ではない印象だ。それに対して日産のe-POWERは日本のユーザーのツボを押さえた価格設定で人気を博している。もしかしたら間違った説明になってしまうかもしれないが、どちらもモーター駆動が主役のユニットなので、ユーザー目線では「高速道路の巡行には不向き」なユニットだと判断できる。よって「街乗り特化」という用途が合致しているユーザーからは強い支持が得られるだろう。

 

 

トヨタの粘りはあるか!?

「THS党」よりもずっと先行きが不安になってしまっているのが「FCV党」だろうか。水素インフラに回る可能性もあった資金が、EVインフラへ大きく配分されることがトヨタから発表されてしまった。もう二度とトヨタから水素燃料電池車(FCV)の新型モデルは出てこないかもしれない。野次馬的な書き方で恐縮だけど、ちょっと前まではトヨタがプライドをかけて水素インフラを普及させてくると信じていた人も多かったはず。このままBEV&PHEV中心の電動化に収束して主導権を明け渡してしまったら、トヨタのこれまでの「環境リーディングカンパニー」のイメージが霞んでしまう。

 

 

 

追われるより、追う側に!?

トヨタは「BEV党」「PHEV党」「THS党」「FCV党」の4つに呼応していて、この4つでトヨタの宝物と言えるのがTHSとFCVなのだけど、やはり適当な競合相手がいないとあまり注目度は高まらない。GR86&スープラフェアレディZが競合して盛り上がるFRスポーツカー市場とは対極的な「寂しさ」がある。トヨタも大きく変化していて、ここ数年ではテスラなどを意識してか、特に乗り味を自慢するモデルが増えていて、独占市場であるTHSやFCVではなく、より競合モデルが多いBEVやPHEVにターゲットを求めて強気に進んでいく方針へと転換しつつあるのかもしれない。

 

 

エンジン派の期待の星

そんなトヨタが1997年以来、バカにし続けてきた「MHV党」が、より自然なエンジン車に近いモデルとして一定の支持を得る気配だ。48Vマイルドハイブリッドがメルセデスアウディなどで普及したが、BMWを含めこれらのプレミアムブランドはBEVへ収束すると発表されている。他のブランドではVWMAZDA、スズキが日本市場で展開している。欧州向けMAZDA3はスカイXだけでなくスカイGもマイルドハイブリッド仕様となり、すでにブランドの基幹技術となっており、これが直6モデルにも装備されるとのこと。

 

 

 

理にかなっている

MAZDAのエンジン開発者である人見光夫さんの本を読むと、「高負荷領域での適宜な電動化こそがもっとも効率的」と宣言されており、1997年にホンダが発売した初期型のHVのシステムは非常に理にかなったものだったことがわかる。一般的にコントロール性などの乗り味を劣化させればモード燃費は際限なく伸ばせる訳で、ホンダとトヨタの基準が違っただけに過ぎない。しかしこの初期インサイトは、トヨタの強烈な「モード燃費主義」の前に販売不調に終わってしまった。

 

 

エンジン駆動主体の意義

その後の日本市場は「マイルドハイブリッド不毛の地」となりつつあったが、エンジンを生産する系列企業を守り、エンジン車と変わらない軽快なハンドリングや走りを実現する必要があるVWMAZDA、スズキにとっては重要な電動化の選択肢になっているようだ。ユーザー目線で恐縮だけど、峠道を超えたり、高速道路で長距離を巡行したいユーザーにとってはベストな電動化技術だと思う。

 

 

 

MHVとBEVの作り分け

VWMAZDA、スズキの技術的な判断において、長距離ニーズにおいてはモーター駆動主体の電動車よりも、エンジン駆動が主体のマイルドハイブリッドに優位があるとされているのだろう。BEVの生産にはバッテリーの確保という課題があるだろうけど、「e:HEV&e-POWER党」のやり方であれば、それほど参入障壁は高くはない。VWMAZDAはすでにBEVを発売していて「街乗り」へのニーズにも応えているし(価格的に十分ではないが)、スズキも軽自動車にBEVを投入する予定だそうだ。

 

 

フィールにこだわる

BEVとは真逆のアプローチのクルマが作れるマイルドハイブリッドが、今後の販売の主流になるとはあまり思えないけども、トヨタ、ホンダ、日産そして今後のドイツプレミアムが参入してこない「エアポケット」なジャンルは、VWMAZDAにとって非常に期待できそうだ。来年にはここにランボルギーニマクラーレンフェラーリなどが大挙して入ってくるが、イメージアップこそあれど、決して競合はしないのでこれは歓迎できる。どれだけ良質なフィールが生み出せるかが大事ではあるけど、世界のエンジン派の最後の砦になりそうな予感。