絶好調MAZDAの致命的欠点
クルマのブログを書いていると、MAZDAの評価が高くなってしまう。これは決して個人的な偏向というわけでなく、かなりフェアにジャッジしてもMAZDAの取り組みはクルマ好きにとって残された「希望の光」だと言える。自然吸気エンジンにトルコンATやMTが組み合わされるモデルが非常に多く「相対的」に評価するならば、国内・海外のメーカーの中で圧倒的な品質・こだわりであると言い切ってしまっても差し支えない。他のメーカーのモデルはMAZDAと比較した瞬間に選択肢から消えてしまうから。次に買うクルマもMAZDAになりそうだ。しかし困ったことに2020年6月現在のMAZDAラインナップから積極的に「買いたい」と思えるモデルが見当たらない。
ブランド内で分散
400万円くらいに全モデルが収まるMAZDAではあるので、NSXやGT-Rのようなスーパースポーツを求めるつもり毛頭ないのだけど、「走り」と「ステータス(クルマの格)」がちょうど良い塩梅で両立する気の利いたモデルがない。「走り」だけで見れば、①ロードスターRF ②ロードスター ③MAZDA3(スカイX) ④MAZDA2MB ⑤CX-30(スカイX) などがあり、「ステータス」では①CX-8 ②CX-5 ③MAZDA6 といったフラッグシップ群があるのだけど、これらが分断されてしまっている。
MAZDAの人気モデルとは・・・
かつてのMAZDAには「ユーノスコスモ」「RX-7」「RX-8」「アテンザ(GG/GH)」「MSアクセラ」などブランドの顔と言えるスペシャルなモデルが当たり前にあったのだけど、2012年以降のMAZDAはそのようなブランドの枠をハミ出す個性を持つモデルの開発を意図的にヤメているようだ。前田育男さんも書いていたが、「RX-7FD3Sはいいよね」と言われるより「MAZDA(ブランド全体)のデザインはいいよね」と言われることにご満悦らしい。MAZDAに対しては尊敬の念を持っているけど、新しいブランド戦略にはどこか物足りなさを感じている。
多くのコアファンは「待機中」
フラッグシップ群に設定されている2.2Lディーゼルに大いに魅力を感じるユーザーならば、今のMAZDAに不満はないのかもしれない。ゾクゾクするような中速域での加速感は確かに「走り」の質を高めている。スカイアクティブXがフラッグシップ群に搭載されれば、「走り」と「ステータス」が両立したモデルの復活と言えるのだろうけど、どうやらFR化された後継モデルを待たなければいけないようだ。しかも次期モデルの発売時期の延期がアナウンスされている。誤解を恐れずに言ってしまえば、今のMAZDAを買っている人は「従来からのMAZDA好き」とはちょっと違う客層なのだと思う。かつてのMAZDA車のアンダーグラウンドながらもクルマ好きを唸らせるような「スター性」を求めるコアなユーザーは今もじっと次期モデルを待っているんじゃないだろうか!?
ホンダもビーエムも・・・
ラインナップの過渡期にあるMAZDAはともかく、他のブランドでもそれほど目ぼしいモデルは存在しない。MAZDA好きが比較的に親和性を感じるのは、ホンダ、BMW、三菱といったところだけど、90年代から2000年代の自然吸気時代のシビック、NSX、3er、5er、あるいはターボ&AWDという独特のジャンルを切り開いたランエボが米国の中古車市場で高値で取引されるという情報に度々接する一方で、現行モデルの話題は極めて少ない。現行のNSXやM5はもはや「スーパースポーツ」で形容できる次元を飛び越えて「エクストリーム」とでもいうべき、ユーザーをとことん限定するモデルになってしまった感がある。
マニアック過ぎる
ブランドヒエラルキーの頂点に、世間離れした高性能マシンが鎮座している中で、現行のシビックtypeRやM2を見ると、スポーツカーという単一の方向性ゆえに、なんだか物足りない気がしてしまう。もちろん性能もコスパも申し分ないレベルにあるのだが・・・。シビックtypeRもM2もサーキット向けの性能を持つモデルであることを全面に押し出していて、限りなく「競技用車両」に近づけるという意味である種のユーザーを引きつけている。そのコンセプト自体は否定しないけど、「公道専用モデル」として追求されるべき「上質さ」と両立できていないと感じてしまう。やはりハイパワー化ゆえだろうか・・・。
ホンダ、ビーエム、MAZDAが勝ちきれない理由?
現行では「ロードスター」と「15MB」を除きサーキット向けモデルへの開発に否定的なMAZDAは先述のように「走り」と「ステータス」が乖離する流れが続いていて、ホンダとBMWも「サーキット」志向が強すぎるし、それらのモデルは、日本でもアメリカでもそこそこの「高級モデル」が買える400万円では足りないくらいの価格帯になってくる。よく探せば2020年の各メーカーの現行モデルで「走り」と「ステータス」が両立し、かつ400万円くらいに収まっているモデルもないこともない。
やっぱりトヨタはデキる・・・
トヨタ・カムリは、ある意味で「破壊的」でもあるコンセプトで、HV専用車として日本で販売されている。HVという存在を認められるかという大きなハードルはあるけども、400万円を下回る価格で立派な車格と高性能なユニットが両立している。トヨタが現行モデルの販売当初から「セダンの復権」というキーワードを使っていて、「だったら北米向けのエンジンモデルも追加しろ!!」という反論が頭にチラついたのだけど、2020年になって市場全体を見渡せばセダンに求められている「走り」と「ステータス」の両立を素晴らしい価格で実現している。
日産の意地
日産・スカイラインのベースモデルは400万円をいくらか超えてしまうけども、6気筒のガソリンエンジンが搭載されていることを考えれば「破格」と言っていいかもしれない。あと数年でMAZDAも同様のセダンを計画しているようだけど、気になる価格設定はスカイラインが健在ならば400万円前後付近の価格スタートラインに収束しそうだ。2022年頃?だろうかMAZDAの「再始動」とともに90年代的な「ハイソカー」みたいなジャンルが復活することを期待したいし、そこに各メーカーが新たな「ハンドメイド感」を放り込んでくれれば・・・。
フラッグシップはいいね
輸入ブランドでも、プジョー508やアルファロメオ・ジュリアなどはそれぞれブランドのフラッグシップを担いながらもDセグで400万円前後の価格帯になっている。Eセグ以上のサルーンはグローバルサイズで車幅1900mm前後に達していて、よっぽど「ステータス」を嵩上げするような使い方するユーザー以外にはあまり魅力的ではない。いっそのこと、メルセデス、BMW、アウディ、レクサスはEセグ以上を別ブランドに分けてしまって、Cクラス、4シリーズ、A5、ISをフラッグシップとして、それにふさわしい「ステータス」へと磨き上げればいいんじゃないか!?と思う。A5などはアウディのフラッグシップにふさわしい風格を備えているし・・・。
ユーザーを動かすために・・・
90年代の発売前から予約が殺到するような売れ方(S13シルビアなど)を期待するならば、サーキット走行を趣味とするようなマニア向けではないけど、「走り」と「ステータス」を表現できる「上質」なクルマ作りが必要で400万円くらいならかなり多くのユーザーを動員することができると思う。フラッグシップという立ち位置で「磨き上げ」をよく見てもらう(トヨタ&MAZDA)、あるいはランドローバーの革命的な新型モデルディフェンダーのように、「強烈な個性」でブランドヒエラルキーの中位モデルながらも爆発的な注目度を得るといった手法は今後は各メーカーへさらに広がっていくだろう。もうちょっと待てば・・・。
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