マウンテン・ゴリラのカーライフ

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トヨタ・ライズ と MINIクロスオーバー

 

Cセグはもう売れない!?

欧州市場の定番クラスとされてきた「Cセグメント」だけども、日本市場では結構前から人気がない。HV専用車のプリウスは実用性の高さ(渋滞に強い!?)もあって販売台数は多いけども、プリウスを自家用車に選んでいる人の多くは、大変失礼だけどトヨタディーラーとの付き合いでプリウスを買っていると思う。ライバル車の存在などリサーチすらしていない。もちろんユーザーをがっちりと掴んでいるトヨタ系列ディーラーが優秀ってのもあるだろうけど。

 

プリウスに勝てないカローラ

トヨタの営業力を持ってしても、自信作のカローラはやや「スベった」感が否めない。他社からみたら羨ましいくらいに売れてはいるけど、プリウスと同等のユニットも与えられていてもなお「かつての王者」がプリウスを超えることはできなかった。確かに他社との差別化という意味ではプリウスに一日の長があるし、トヨタのTHS戦略を全面的に支持する善良なエコユーザーにとっては、プリウスを選ぶことが先進環境技術への敬意を示せると考えるのだろう。カーメディアも諸手を挙げて欧州車と戦える(実際に欧州では売れてる!!)と絶賛した、クルマ屋・トヨタの「真剣」カローラが・・・発売から20年以上経過している「永遠の未来形」に勝てなかった事実は重い(日本市場はヤバい!?)。

 

苦悩

シビックやシルフィは、最初から日本市場は諦めている感すらある。エンスーにはやや物足りないところだし、5ナンバー幅を超えるようになってから実用性も強調されにくくなった。MAZDA3はかなり強引に売りにいく作りをしているけど、やはりCセグに吹き荒れる逆風をモロに喰らった。欧州市場でもCセグが上位を独占する時代は終わりつつあるようで、変わって「背伸びした」Bセグがマーケットを奪いつつあるようだ。

 

MINIクロスオーバーのちょうど良さ

東京近郊の住宅地で多く見られるビルトインの小さな駐車場に収まっているのは、10年前後は経過してそうな、一時代前の日本メーカーの小型車ばかりだった。しかしここ数年の乗り換え需要商戦で躍進したのが「MINI」で、特にファミリー需要に応えた「ミニ・クロスオーバー」をよく見かける。とても使いやすそうだし、「MINI」デザインもBMW傘下になってすっかりマイルドで高品質を感じさせるものに変わり(もはやミニじゃねー!!)、一家の主人のオッサンが乗っても落ち着いて見えるようになった。ガッチリ体型だろうが、ヒョロヒョロ体型だろうが似合う。

 

 

SUV後発ながらも完璧な作戦

Cセグベースの標準規格SUVであるCX-5、エクストレイル、フォレスターはやや大柄に見えるボデーがデザイン面でのシャープさを損ねている。それに対してCセグよりは200mmほど全長が短いMINIクロスオーバーは、MINI特有のモチーフに加えて、あらゆる機能部分の造形がボデーサイズに合わせて凝縮されていて実にバランスがいい。ヴェゼルやCX-3でも概ね同じことが言えるけども、BセグSUVは天性の恵まれたプロポーションを授けられた「黄金比」なのかもしれない。トヨタC-HRでCセグをベースに小さなボデーを載せてヒットさせたが、C-HRを300万円前後の価格帯で大ヒットさせて、その一巡後に200万円前後まで大幅に下がる今回のトヨタ・ライズの投入。日本市場で主導権を主張する故に可能な「殲滅作戦」の破壊力はやはりすごかった。もはやVWに付け入る隙などないだろう・・・。

 

 

ASEANの帝王

低価格の秘密は開発&製造を担当するダイハツ自慢の「DNGA」という軽自動車との共用プラットフォームにある。軽自動車とはいえムーヴやタントはそのクラス離れした剛性感やパッケージングでBセグの普通車を完全に喰ってしまったと騒がれるほどで、小型車技術においては紛れもなく世界のトップに位置する。発展が目覚ましい6億人あまりを抱えるASEAN市場を驚異的なペースで駆け上がったマレーシアの「プロドア」も全面的にダイハツの技術供与を受けている。吉利汽車傘下の「プロトン」を駆逐し、日産のASEAN戦略ブランドである「ダットサン」も解体へと追い込んだ。

 

ダイハツがスポーツカーを作ったら・・・

欧州メーカーや新興国メーカーにも、存分に日本メーカーが得意としてきた小型車技術が行き渡るようになって久しく、ライバルが弱すぎて楽々に躍進できる状況でもないのだけど、小型車のスペシャリストとして研鑽を重ねたダイハツが、雁字搦めの「軽」規格で魅せた圧倒的な高品質へのこだわりは、赤い広島メーカーに匹敵する熱量があったように思う。トヨタとの資本関係により軽自動車に軸足を置くことになったが、本格的なスポーツカーでも作らせればホンダや日産すら超えていくくらいの「インテンシティ」がダイハツにはおそらくあるのだろう。

 

整ったプロポーション

トヨタ・ライズは5ナンバー幅に収まるサイズなのに、実車を見ると無理のないプロポーションのせいか、デザインには非常に塊感があり、実にソリッドな印象だ。MINIクロスオーバーほど手数が掛かったエクステリア(インテリアも)ではないかもしれないが、それでも予算都合の「下位互換」で扱われてしまうような「ミニマム」で「ボトム」なSUVというわけでもない。堂々とMINIクロスオーバーをライバル指名しても差し支えないくらいに、あらゆる部分で開発者の創意工夫が見られる。デザイナーももちろん良い仕事をしている。堂々と都市部のビルトイン一軒家に収められる最有力候補に名乗りを上げた。

 

小型車専業メーカーの実力

素人の見立てで恐縮だけど、MINIクロスオーバーの「全方向に上品」な佇まいであったり、CX-3の「モード」な主張であったり、ヴェゼルの「親しみやすくて温もりのある可愛らしさ」を全て取り入れている。そこにダイハツの軽自動車ながら不思議と開放的な空間作りだったり、ボデー骨格でNVHに取り組んだ結果の独特の包まれ感などが合わさって、満足度が200万円を下回る価格のクルマとは思えないほど高い。

 

晴れ舞台

さらにクルマ好きの勝手な憶測も多分に含んでいるけど、ダイハツの開発者にとっては久々に大手メーカーと対峙するチャンスを得た。トヨタのチャンネルで大々的に売り出すわけだから、「DNGAここにあり!!」を力強く叫べるような本気の作りこみがあったのだろう。ジューク、ヴェゼル、CX-3、T-ROCなどとガチンコで対峙できる。ダイハツの存在をナメていてどこか調子に乗ってそうなメーカーに一泡吹かせたい・・・そんな意気込みすら伝わってくる。

 

 

因縁の対決

それ以上に気になるのが、MINIの親会社であるBMWとの対決をダイハツ開発者はどれくらい意識していたのだろうか!?BMWこと「バイエルン発動機」のグループと、ダイハツこと「オオサカ発動機」との、社名をめぐる因縁のライバル関係は、かなりの「異種格闘技戦」の様相を呈しているが、それでも1つ1つのモデルをユーザーに感動とともに届けたいという姿勢においては「バイエルン」も「オオサカ」もプライドと執念を強く感じるメーカーであることは間違いない。トヨタのアライアンス選考は多岐にわたるけど、トヨタの日本市場ラインナップに堂々加わるOEMモデルを供給する「バイエルン」「オオサカ」「グンマ」はトヨタの恐るべき分析力を経て選ばれた精鋭ばかりだ。

 

 

ダイハツが自動車業界を変える・・・

ダイハツにとって悔恨なのは、トヨタが勢力を張る北米市場で、Bセグのトヨタラインナップを「西のメーカー」に奪われてしまったことだ。前々回、前回の東京モーターショーでは「DNGA」の開発により様々な普通車レベルのコンセプトカーが展示されていて目立っていた。どちらかというと斜陽気味の自動車産業の中で、ダイハツのコンセプトカー群は明らかに「野心的」だった。「西のメーカー」はとにかくモード一辺倒で美しさと儚さに満ちていたが、ダイハツは自ら自動車産業の未来を切り開くような不思議な気分がした。これが成長がまだまだ止まらないASEAN市場で圧勝しているメーカーの勢いだったのかもしれない。やや鬱屈した雰囲気も漂う「バイエルン」や「西のメーカー」をさらに奮起させるためにも、ダイハツのアジアンパワーを日本の自動車産業にもどんどん注入してもらいたい。

 

 

 

 

 

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