日本のニュル
MT車(15MB)に乗るようになって、仕事が休みの平日に手頃にサクッとドライブする場所の一つが、奥多摩周遊道路である。全長や高低差がドイツのニュルブルックリンク北コースとほぼ同じということで、「日本のニュル」とか言われているが、休日は大挙して押し寄せる二輪集団に占拠され、比較的空いている平日は警視庁奥多摩警察署が取り締まりに精を出す場所になりつつある。
関東平野の住宅地が連なる低地エリアから、標高1146mの風張峠まで一気に駆け上がるルートで、耳ツンに弱い人には向いていない。コーナーはどんどんタイトになっていき勾配も上がるので、GHアテンザやCX-5だとホイールベースが長く、自然吸気エンジンはブレーキングからの速度リカバリーが面倒で、あまり積極的に走りたいとは思わないが、ホイールベースが2590mmの15MBだと、まるで別次元のようにタイトなコーナーにハマって気持ちよく曲がれる。そのためかなりの頻度で通うようになってしまった。
ホンダ乗りは荒い
ローカルな話で恐縮だが、国道16号から睦橋通りに入るルートで向かうのだが、16号からの右折レーン(2列)直後から、ちょっと騒つく位置取り争いが始まる。右折直後に左側レーンは左折専用となるため、空いている左側レーンからオラオラで右側に切り込んで来る輩が多い。律儀な私はいつも右側レーンで右折してそのまま進む。前方がトラックなどの大型車であればMTの発進で余裕で追従できるが、前方車が地元走りの軽ターボだったりすると、どうしても車間が空いてしまう。
この日もフィットHEVがウインカー無しに切り込んできてハザード挨拶すらなかった。これくらいでいちいちキレていたら、ドライブは楽しめないので「ホンダ&トヨタはバカが乗っている」と自分に言い聞かせて納得している。レクサス、BMW、MAZDA、スバルのユーザーならこんな無神経な運転はしない。睦橋通りの入り口はトリッキーで、左側の左折専用が終わると、今度は右側が右折専用になる。一斉に右から左へと車列が動く。そこに新型フォレスターが現れた。
走り屋集結
右折レーンを進んだのちに、数台前方の軽自動車の前に割り込んだ。なんか嫌な予感プンプンする。前方には先ほどの強引なフィットHEVの他に、フリード、スイフト、セレナe-POWERなど「前に出たがる」クルマが何台もいる。右折レーンが終わると、その先は片側2車線の見通しの良い直線道路だ。交差点には交番があるにもかかわらず、信号が青になった途端に、右側車線の激しいポジション取りが始まる。
奥多摩周遊道路に辿り着く前の「睦橋通りレース」は、日中ならば毎回のように発生する。左側車線には路線バス、右側車線には右折待ち(この道は右折レーン無しが多い)の位置を把握しておけば、後方からでも追い上げは可能だ。急にレーンチェンジしてくるプリウスやホンダ車全般には接近しない方が無難だ。下手に競りかけると熱くなりやすい。この道で事故を見かけたことは一切ないので、地元ドライバー(八王子ナンバー)の運転技術は高い。
どこまで付いて来れるか!?
睦橋通りを中程まで走っていると、先ほどの新型フォレスターが後ろにいることに気づく。ドライバーは評論家の岡崎五朗さんのような人当たりの良さそうは風貌である。もしかしたら本人だったかもしれない。5速でスムーズに走れるくらいに、交通量が少なくなってきた。どうやら周遊道路に向かうのは私の15MBと新型フォレスターだけのようだ。他は商用車と地元軽自動車ばかり。
片側2車線であるが、フォレスターは追い抜くでもなく、私の定速走行に追従してくる。この後で周遊道路に突入しても、ほぼ定速で走ってしまう15MBに対し、フォレスターのようなミドルSUVでは、タイトなコーナーで追従するのは難しい(私の技術では・・・)。観光道路なので、SUVやミニバンもやってくる。道路工事で待たされることも多いルートで、しばしば後ろにやってくるが、コーナー&勾配がきつくなってくると、定速走行に追従してくるクルマは見たことがない。
PHEVやe-POWERも無力
後方車に配慮した定速走行を心がけているが、1700kg級のSUVやミニバンだと、コーナーで付けられた差を、直線区間で猛追して追いかけてきたりする。こちらも迷惑をかけるのは本望ではないので、少しペースを上げてあげると、さすがに追いかけるのを諦めるようだ。ややペースが早めに感じるフォレスターなので、おそらくこのパターンになると予想していたが、急勾配区間に入る前に側道へ入っていった。
15MBの1030kgという軽量ボデーを堪能できるルートとして奥多摩周遊道路を使うが、もっと軽くてホイールベースも短い軽自動車なら、さらに自在の走りができるかもしれない。しかし以前にブログにも書いたかもしれないが、睦橋通り終点の武蔵五日市駅の標高が189mで、そこから標高1146mまで駆け上がる高低差のある道路なので、しばしば軽自動車の故障車を見かける。660ccのエンジンをCVTで高負荷で回し続けるとエンジンブローのリスクが高いようだ。
15MBの限界
6MTの15MBでも4速くらいで登り続けるとエンジンにかなりの負荷がかかっていると感じる。MAZDAのインパネモニターでは、急勾配での速度低下を感知すると、すぐにシフトダウンを推奨してくる。「このままだとエンジン壊れますよ」と言われているようで3速に落として速度を回復させる。すると今度はすかさず4速へのシフトアップを命令してくる。「このまままだと燃費が強烈に悪化します」という別の基準で指示が切り替わるのだろう。
奥多摩周遊道路のさらに奥には、関東山地で最恐クラスの勾配を持つ県道・上野原・丹波山線がある。丹波山・小菅間と、小菅・上野原間(鶴峠)にはそれぞれ、15MBで走ると、シフトダウン指示が出続けて、2速登坂を強要される区間もある。このクラスの急勾配峠まで来てしまうと、1.5L自然吸気では気持ちよくは走れない(現状の私の運転技術では・・・)。2.5L自然吸気のCX-5の方がスムーズに走れてしまうくらいだ。
スバルとMAZDA
本体価格176万円の15MBに過度な動力性能を期待してはいけないし、程よい勾配のワインディングを楽しむには非常に良い車であり、これだけの山岳路線を走り回っても平均燃費は17km/L(ハイオク指定)を下回らない。周囲のクルマがHEV、BEVばかりで信号ダッシュが早くても、急勾配で運転が難しくても、ワインディングでGRヤリスに追っかけ回されても、運転技術を高めていくことで、あらゆるシーンに対応できるクルマではあると思う。
MAZDA車とは扱いが違って、メディアで大絶賛されているフォレスターだけど、どうやら車重が増えすぎたのか、出足が鈍い様子だった。ホイールが着色されていたのでターボ車だと思われるが、CVTもトルク容量ギリギリで、岡崎さんに似たユーザーさんもなんだか必死で走っている形相をバックミラー越しに感じた。中速域で走り続けるなら静粛性も高くて良いクルマだろうけど、峠に乗っていくクルマではなさそうだ。スバルもMAZDAもユーザーに乗り方を試行錯誤させる部分があるので、運転技術次第なのかもしれないが・・・。