マウンテン・ゴリラのカーライフ

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電動シビック VS MAZDA、スバル 最後の戦い!?

 

シビックは北米車!?

日本市場で7月の発売が予告されているシビックe:HEVだけど、このクルマの本拠地である北米市場のサイトではe:HEV版の予告すら出ていない。北米では「シビック」「シビックSi」「typeR」の3車種に分かれる。シビックは2L自然吸気(158ps)と1.5Lターボ(180ps)、Siは1.5Lターボ(200ps)、typeRでは2Lターボ(308psと340ps)が搭載され、アキュラ版のILSには2.4L自然吸気(201ps)で旧型のエンジンがそのまま使われているようだ。

 

北米typeRは1700万円

1.5Lターボ(180ps)が日本市場でも投入されている。北米価格も日本価格もほぼ同じ水準だ。日本では未発売のtypeRはレース用のエアロを装備した「コンプリートカー仕様」になっていて、Siがベースの1.5Lターボ(200ps)版が5万ドル、2Lターボ(308ps)版が8万9千ドル、2Lターボ(340ps)版が17万ドルもする。シビックtyopeRに1700万円!?が日本での感覚かもしれない。「物価の違いだ、日本は貧乏、アメリカは金持ち」とか言う人が多いけど、メルセデスBMWに限らずほとんどのメーカーで北米価格の方がずっとお買い得ではある。

 

 

 

e:HEVは北米では売れない!?

typeRの「コンプリートカー」を除いては、大まかに23000〜28000ドルくらいの価格帯に収まっている。日本市場の1.5Lターボは乗り出しで、なんとか400万円を下回るくらい。ホンダだと軽自動車で乗り出し200万円を大きく超え、フィットやヴェゼルでも乗り出し300万円では収まらなくなってきている。シビックの絶対的な走行性能を考えるとブランド内ではお買い得な部類なのだろうけど、「安い」とは感じない。ここに新開発のe:HEVが追加され、乗り出しも500万円級になりそう。

 

 

日本スペシャ

typeRでもない「ツアラー仕様」のシビックでは北米で45000ドルもの価格は難しいだろう。北米ではBMW330i(255ps)が41000ドルで売られている。シビックe:HEVは、モーター加速が大好きで、モード燃費をガッツリ気にする日本市場向けスペシャル仕様なのだろう。日本のような信号地獄でストップ&ゴーを繰り返すだけならBEVの方が乗っていて楽しい。しかし60km/hを超える速度域で定速巡航する走り方をメインにするユーザーにとっては、CD値、ボデー剛性などのハード面と、サス、ミッション、ステアリングなどの可動部(ソフト面)の作り込みにコストが配分できるエンジンモデルがまだまだ魅力だ。

 

 

 

Cセグ用ユニットの充実

VWゴルフは1.0Lターボを使うようになり、欧州市場ではシビックカローラも1Lや1.2Lのターボがメインユニットとなった。日本のCセグも同じように急激な排気量減が進むと思ったが、ゴルフはGTIの人気が続き、MAZDA3にはスカイアクティブXマイルドハイブリッドが、インプレッサスポーツにe-ボクサーマイルドハイブリッドが追加された。伝統のゴルフGTIに対抗すべく、MAZDA、スバルが完全に「走り」に振った電動Cセグをラインナップしている。

 

 

ホンダのプライド

ゴルフR、MSアクセラWRXといった「スポーツ・スペシャル」から一歩引いた「ツーリング・スペシャル」なCセグマーケットは、今後もクルマ好きな人々から一定の支持を得られるだろう。北米で発売されている「シビックSi」の日本投入を夢見たファンもいただろう。オデッセイのVテックがシビックに載ったらさぞかし。しかし2.4L自然吸気Vテックから、日本向けシビックと同じ1.5LのVテックターボに置き換わってしまった。180psから200psにスープアップされているとはいえ、今更に導入されてもインパクトは薄い。そこでホンダのプライドにかけて、MAZDAやスバルを圧倒するような「電動ツアラー」を見せつけようと思ったのだろうか。

 

 

 

電動化は不要!?

1300kg台がデフォの身軽なCセグなのだから、自然吸気エンジンだけ載ってれば十分だという人もいるだろう。インプレッサMAZDA3も150psの2L自然吸気だけで、幸せいっぱいに走ることができる。街中の渋滞はそれほど面白くはないけど、高速道路も峠道の登坂も全く不足なしに走る。使い方によっては電動化によって燃費が伸びるのはわかるけど、10km/Lを下回るような極悪燃費でもないし、電動化したからといってこれが20km/L以上まで伸びるはずもない。

 

 

心で買うモデル!?

そんなコンサバな意見が根強いせいもあってか、スカイアクティブXもe-ボクサーも「マニア向け」の域を出ない。シビックe:HEVの登場はこの現状になんらかの変化を与えられるのだろうか。MAZDA、スバル、ホンダがそれぞれに、クルマ好きの日常をよく考えて、「走り」で妥協しない、衝突安全性で世界の頂点に位置する、価格のバランスも良いCセグに惜しみない技術投入をしている。オーバースペック気味ではあるけど、世界をリードする自動車メーカーの「飽くなき前進」を感じるには、非常に良いモデルだと思う。

 

 

 

自然吸気の弱点

オーバースペックは、これからやってくるBEVへの警戒感の現れでもある。自然吸気エンジンの細いトルクでは、街中の加速が物足りない部分もある。もちろんベタ踏みすれば、ノートe-POWERやリーフにゼロ加速で遅れを取ることはないのだけど、すぐブレーキングしなきゃいけない街中でムキになって踏むなんて愚かしい。電動化による加速は、エンジンを唸らせる必要もなく、そんな「罪悪感」を程よく緩和させてくれる効果は間違いなくある。

 

 

残された聖域

そんなドライバー心理を、メーカー側が先回りして汲んでくれている。ノートe-POWERやリーフのように60km/hを超えるとエネルギー効率が悪化することなく、そこから排気量に余裕がある2L自然吸気のエンジンパワーで引っ張れるので100km/h巡航でもベストに近い燃費が出せる。BEV、ストロングハイブリッド、低回転ターボが増えて、90〜100km/hでベストの燃費が出るクルマがどんどん減っている。

 

 

 

コスパが良くても・・・

MAZDA、スバル、ホンダのマーケティングの本音は、2L自然吸気で乗り出し300万円は間違いなく説得力はあるのだけど、逆に特別なものがなくて、そこそこお金を持っていて10年くらいのキャリアを誇るユーザーに売るのが難しい部分もある。18歳の若者が免許と取って最初に乗るクルマには、走りやすくて、衝突安全性も高く、価格も手頃なMAZDA3やインプレッサがオススメできる。高速道路で遠出をするなら2L版を選ぶと静粛性も高く車内で楽しく会話できる。

 

 

新しいヒエラルキー

バブルの頃には、Cセグのカローラ、CDセグのカリーナ、DセグのマークⅡ、Eセグのクラウンとヒエラルキーを作ることができたが、そんなビジネスモデルは形骸化した。車体の大きさよりも機動性が新しいヒエラルキーを作りつつある。乗り出し300万円の「ベース」Cセグ。その上に乗り出し400万円の「オールラウンド」Cセグ。その上に乗り出し500万円の「スーパースポーツ」Cセグの3段階、大まかに言えば「ゴルフ」「ゴルフGTI」「ゴルフR」とそれぞれ対峙するクルマなのだろう。

 

 

 

さらに充実するか!?

スバルはすでに3段階が用意されている。「オールラウンド」のe-ボクサーは乗り出しで300万円をちょっと超えるくらいなのでお買い得だ。MAZDA3は「スーパースポーツ」が用意されていない。北米市場には3万ドルを超える価格帯で2.5Lターボが存在するが、「スーパースポーツ」と言えるスペックではない。北米市場で絶好調な状況を受け、MAZDA3にはさらなる高性能モデルの開発が噂されている。

 

 

ベテランユーザーの背中を押す

ホンダは他社と価格やスペックで並ぶつもりはないらしい。1.5Lターボが「ベース」で、e:HEVが「オールラウンド」で、今年発表される予定のtypeRが「スーパースポーツ」になるけど、いずれも300万円、400万円、500万円に収まるつもりはないらしい。それぞれにメーカーがこだわって設計しているのだから、価格に正解などないし、好きな価格を設定すればいいと思う。いずれにせよ「クルマにこだわりを持ちたいユーザー」に取っては、ただただ有り難い選択肢だ。