マウンテン・ゴリラのカーライフ

最高に面白いクルマのブログを作りたい!!(もちろん全編フィクションです)

VW、アウディ、ジャガー 売れてないけど・・・いいクルマだ。

 

渋い対決

前回はオッサンしか買わないイメージがあったメルセデストヨタ、レクサスが予想外のハイレベルな戦いとなったなー。今回の予選Cグループはオッサンもなかなか手を出さない(誰が買うんだ?)VWアウディジャガーの3ブランドの対決です。ここ数年苦戦している輸入ブランドを3つ比較なんて、もはやレビュアーの「趣味」以外の何物でもないわけですが、それでも、それぞれに日本市場で戦う拠り所となる個性と得意ジャンル、それから一定のファン/顧客は抱えているようなので、今後もしかしたら大きく化けるかもしれない・・・。

 

上級SUVで収穫はあったのか!?

アウディジャガーSUVをメインとした日本戦略が完全に空振りに終わった。中上級SUVに関しては、メルセデスBMW、ポルシェも全く上手くいった感触はないのだから、この2ブランドが悪いってことはないのだけどさ、一般ユーザーが憧れの輸入車SUVを買うことになったらやっぱりメルセデス、ポルシェ、BMWに最初に吸い寄せられでしょーね。そこでハマらなかった人々はボルボ!?もしくはレクサス!?となるのかもしれない。その5ブランドにハマらない人が探し求めているものが、果たしてQ5やFペースで見つかるのか!?もうこれはコンマ以下の確率の話になるんじゃないの!?

 

選ばれるクルマ

結局のところ、最初の選択肢3つくらいに入らないとかなり厳しい。日本で売れている輸入車ってのは、ゴルフ、3シリーズ、Cクラス・・・強力な日本メーカーを相手にしても、一定のユーザー層の選択肢では最初の3つに見事に滑り込んでいます。そこに入れないとやっぱり厳しい。ジャガーは日本で一日に10台程度しか売れない計算。ポロやゴルフの兄弟車やクロスオーバー改装車で台数を稼いでいるアウディも、アウディ設計の中上級モデルに関してはジャガーと同じかちょっと良いくらい(1日に10〜20台)。苦戦しているブランドはどうにか「競争力」をつけたい。

 

イメージを壊さないで・・・

輸入車に割高な金額を突っ込んで新車を買う人々はさ。とにかく「アウディらしさ」「ジャガーらしさ」を求めていると思うんですよ。アウディといえば、やはりクワトロのGTワゴン。ジャガーといえば限りなくスポーツカーの領域に近いGTサルーンですかね・・・。ちょっと短絡的な素人発想だけども、アウディのラインナップに、メルセデスが発売しているCLAシューティングブレークみたいなボデーのクワトロのワゴンがあれば、割とユーザーのイメージにハマりやすくなるのでは!?同じくメルセデスSLやデザインで話題の新型CLSみたいな流麗でスポーティなボデーはジャガーのイメージにハマる。

 

 

今回はアウディジャガーにもう少し頑張る余地があるんじゃないか!?と思われるグランドツアラー的なモデルを主眼として選んでみました。VWとしてはちょっと専門外のジャンルなので今回の評価はあまり気にしないでほしいですね。

 

 

 

 

ジャガーXE

 

ジャガーのチーフ・デザイナーは英国出身の大物イアン・カラムが長年勤めていますが、うーんXEのデザインは・・・。日本の中村NISSAN信者や俣野・荒川・前田信者など日本人デザイナーがとにかく好きな連中の目には、XEは実に大味なデザインに見えるだろう。もちろん十分に整った端正なデザインだとは思いますよ。しかし几帳面な日本の一流ライターの仕事とは明らかに違う。欧州ブランドらしく、力強いヘッドライトでキャラの印象が冴え渡っている一方で、後ろから見るとコレはどこのドイツメーカーだ!?ってくらいにトボけた竜頭蛇尾デザイン。

 

イアン・カラムと前田育男はどっちが優秀か!?2013年にFタイプとアテンザが世界最高峰の舞台で戦ってカラムが勝ちました。カラムのジャガーはそこで頂点を迎え、復讐に燃える前田軍団『東洋のジャガー』はその後もコンスタントに世界最高峰の舞台に候補車を送り込んでいます。世界の評価ってのは、しばしば両者のその後の人生を対照的なものにするんだなー。別にジャガーハンカチ王子で、マツダがまーくんだとは言ってないですよ・・・。イアンの弟はマツダのデザイン本部長だったモーレイ=カラム。

 

あまりにも『ステレオタイプ』な意見なので、憤る人もいるかもないけどさ、結局のところジャガーというブランドはこの先はどこまで行っても「Eタイプ」なんだと思う。前田育男さんがいうに、もっとも自分のデザインに影響を与えたクルマが「Eタイプ」なんだってさ。前田さんもジャガーと世界最高峰の舞台で戦えたのだから、そりゃもっといい作品をどんどん作りたくもなるだろうなー。

 

河口さんも動画で仰ってますけど、BMW3erとの差別化ポイントは、現状ではやっぱりデザインに求めるしかない。EタイプやXJ220じゃないけどさ、飴細工のような幻想的な緻密さを、エクステリアデザインの全体に宿すことをどっかで期待されている。そんな無言のプレッシャーをファンから突きつけられているのがジャガーというブランドだと思う。異論はあるかもしれないけど、このXEのデザインはその水準にまでは達していない。別に悪いとは思わないけども、世界最高のデザインを宿命づけられたジャガーの運命的なデザインとは言い難い。

 

ジャガーにとってはブランドのヒエラルキーなど経営面の配慮なんだろうけど。日本市場にはデザイン力でゴリゴリとシェアを伸ばしているブランドが最近は目立つ。メルセデスマツダ以外にも、他のメーカーにはちょっと見られない類い稀な小型車デザインの才能に恵まれた、結城康和が率いるスズキも非常にいい仕事している。『入門車からエモーショナル全開』・・・トヨタ(C-HR)、ホンダ(ヴェゼル)など日本市場の大手メーカーもこの方針をしっかり採用している。これらと対峙しシェアを奪うという意味では、XEはやはりあまりにも前近代的なボトムグレードモデルなのだと思う。さらに余計なことを付け加えると、ジャガーの内装はセンスが・・・行方不明。

 

ジャガーXEの評価・・・①走行性能3 ②開発/完成度3 ③エキップメント4 ④格式/モード5 ⑤ストーリー性5  合計20

 

 

 

VWアルテオン

さっきのジャガーの話がオーバーラップしてくるデザイン・・・だけど悪くはないな。これはフォルクスワーゲンなのだから(誰も過剰な期待はしていない)。このクルマを含め、VWホイールベースが長いクルマにとっては不遇な時代らしい。やはりゴルフ(ホイールベース2635mm)に最適化されちゃっているのかなー?・・・そんなMQB限界論まで飛び出す始末だ。モジュラーシャシー、可変ダンパー、20インチホイール、素人が結論づけたところで何の意味もないけども、これはVWに限らず全ての量販ブランドが多かれ少なかれ陥っているワナだ。そこにあえて飛び込む勇気は素晴らしいけどさ・・・。

 

動画でも河口さんが20インチはキツいっすと言ってますけど、アテンザスカイラインも上級グレードは19インチを見事に履きこなしている。トヨタ(の乗り心地)との相対的優位を意識して作り込んでいる日産、マツダにももちろん弱点があるけど、「突き上げ」はご法度という日本市場のルールはドイツ車にはちょっと厳しい。スカイラインなんてランフラットだけど、メチャクチャよく作り込んでいると思う。同じランフラット派のBMWが20インチを履いたらどーなっちゃうか、ぜひディーラーで『ぶっ飛んでる』X2を試してみてください。

 

シャシー、タイヤ、ダンパーのマッチングの結果が、「キビシー」だったらもう終わりだろ。ほんとに失礼だけども、日本メーカーが400万円くらいの上級セダンでこれと同じ乗り味だったら、二度と立ち直れないくらいにカーメディアにフルボッコにされると思う。しかしこの手の乗り味は伝統的にドイツ車では認められていて、即座にE90世代のMスポ車の乗り味を思い出す。最近だとアルファロメオ(ドイツではない)のSUVですね・・・。もっともBMWのMスポは限界を高めるフラットな走りを狙って作ってますけど、このアルテオンを同じように走らせると迫り来るアンダーステアにちょっと恋心を砕かれる・・・乗り方が間違ってるかもしれないけど。

 

アルテオンの最大の評価点は・・・エンジンとミッションかなー。最近の高級車モデルにはアクセル・ダイレクトっていう考えがとても希薄だ。同じ横置きエンジンのメルセデス(CLAとか)と乗り比べれば、アクセルのストローク一つでVWの質感の良さは感じ取れる。横置きターボ&DCT同士でここまで違うか!?・・・ただしこれと同じVWエンジンとミッションの良さを存分に楽しむなら他にもっといいクルマがあるから、VWのD/Eセグ4ドアクーぺをわざわざ選ぶ理由ってないなー・・・てのが結論。重ね重ね失礼だけども、これでは日本でまともに売れるわけがない。オンリーワンな1台が欲しい人には良い選択かもしれないけど。

 

VWアルテオンの採点・・・①走行性能3 ②開発/完成度4 ③エキップメント4 ④格式/モード4 ⑤ストーリー性4  合計19

 

 

 

 

アウディA5スポーツバック

Dセグメント車ってのはアルテオンに限らず、何かとハンドリングによる限界性能が気になってしまうサイズだ。ちょっとタイヤを鳴らしてみたくなるし、その領域付近で走るならば、3erと4erあるいは、A4とA5の比較で、ルーフの最高点が50mmほど低いクーぺタイプはあらゆる意味で「走り」の印象がよくなる。日本車でもISとRCあるいは、スカイラインスカイラインクーぺ、フェアレディZを比べることはできるけど、限界性能を追求するという意味ではドイツブランドの方が徹底しているし、そこに着眼したクルマ選びを肯定したくもなる。たとえベースモデルから100万円以上高くても・・・・。

 

冒頭でアウディにCLAシューティングブレークがあればいい!!とか『たわ言』を書いたけども、ワゴンタイプではなく、単純に低重心の4ドアクーぺであるなら素直にFRで乗りたい気がする(4erグランクーぺ!!)。それがシューティングブレークというワゴンとクーペが融合したようなボデー形状になると、車載によるトラクション変化で迷走しないためにも、アウディアイデンティティである「クワトロ」とのマッチングが効果的だ。みんな日本市場のユーザーは馬鹿って言うけど、クルマ好きはそれくらい考えて後悔しないクルマを選んでいる。スバルが平均単価で300万円を軽く超えるレヴォーグをヒットさせたのも同じカラクリだ。

 

A5シューティングブレークあるいはA5アバント・・・これならば3シリーズツーリング、レヴォーグ、Cクラスワゴン/CLAシューティングブレーク、アテンザワゴン!?くらいの数少ないライバル関係の中で1、2を争う「機能美」を持つ設計として好意的なユーザーが増えると思う。当然に3つに選ばれる可能性も高い。

 

しかしアウディにとって「A5」は3ボックス車でなければならないという、また別の「イデオロギー」「観念」「こだわり」があることも理解できる。日産出身であのA31セフィーロ(初代)を作った和田智というデザイナーがアウディ移籍後も素晴らしい仕事を連発して、現在のアウディのブランドイメージを決定づける初代TTと並ぶアウディ珠玉のデザインとされる初代A5を作った。そのあまりの完成度の高さゆえに現行モデルもキープコンセプトでデザインされている。余談だけど、「アウディの矜持」という御堀直嗣という還暦ライターが書いた本の中には、アウディの最高レベルの貢献をした和田のわの字もなかったことには呆れましたよ。日本のオッサンがクルマを語るとよくあることだけども・・・。

 

名車セフィーロの30年後の姿がアウディA5スポーツバックだ!! そこには同一デザイナーを通じた確実な遺伝子の受け渡しがある。見るものにバブル期の日本車のような懐かしい温かさと、A31セフィーロの普遍的なデザイン性と、それからアウディが1998年以降に世界を席巻した「モード」で「デザイナーズ・キャラクター(DC)」な独自の世界感など、あらゆる祝福に恵まれた存在に思えてくる。パリで大きく評価されたコムデギャルソンみたいな、オリエンタリズムの「創発」すら感じさせる。量産車のデザインとしては、余裕で『殿堂入り』レベルだと思う。見ていて飽きない。アウディってやっぱいいなー・・・まだまだMAZDAに主役は譲らないだろう。

 

アウディA5スポーツバックの採点・・・①走行性能6 ②開発/完成度5 ③エキップメント6 ④格式/モード6 ストーリー性6  合計28

 

結果発表

1st・・・アウディA5スポーツバック 28点

2nd・・・ジャガーXE 20点

3rd・・・VWアルテオン 19点

 

ジャガーはもっと頑張れ!!V6とV8のスーパーチャージャーユニットは引退するらしい。次世代エンジンの話がほとんど聞こえてこない。先日日本でも発売された最新モデルはなんとフルEVで、400km以上走れるテスラやリーフ級の航続距離を持っていて、デザインも相当にいい。親会社のタタにお願いしてヤマハとか傘下に収めればいいのだろうけど、もうそんな時代じゃねーよ!!って言われてしまいそう。インドで成長するタタとしては優秀なエンジンは欲しいだろうから、絶対にない話ではなさそうだけども。イアン=カラムが引退したら、前田育男を引き抜くってのも良さそう。Eタイプを超える=ジャガーの歴史を塗り替えるデザインのスポーツカーを作りそうだ。

 

VWに関しては今回はごめんなさい。また別の機会で美点を可能な限り描きまくってみたいを思ってます。日本一周ドライブをするならVWがドイツ車の中では一番いいかなー・・・と思っております。アルテオンはとりあえず米国で大ヒットするような後継モデルを期待します。本気を出すなら『MQB』から『MLBevo』(アウディA5)にプラットフォームを変えて出てくるのでは!?・・・でも3台とも全く悪くないクルマです。13ブランドの最も魅力的な部分だけに焦点を当てて評価しているので、結果として辛口採点になってますけど、・・・『所有』の満足度ってのは、この3台のようなレアなモデルを選んだ方が満たされるのかなーって気もします。

 

「ジャガーXJ / 全ての理屈を押し通した理論派サルーン」

 

 

 

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