マウンテン・ゴリラのカーライフ

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エクストレイル <日産車は格が違う>

 

新車販売計画はどうなった!?

日産はカルロス=ゴーン前会長の退任騒動があって、前会長が度を超える贅沢をしていたから新型車が作れませんでした!!みたいな下手な言い訳をしていた。その場しのぎで「大量に新型車出します」と宣言していたが、いくら待っても「大量」には出てこない。新型に擬装したフェアレディZと、異例の長期プロローグキャンペーンを展開したBEVアリアが栃木工場でフル生産されているようだけど、ほとんどが北米に振り分けられているからなのか、日本の路上では見かけない。

 

それでも新型モデルとして登場した「ノート・オーラ」と「サクラ」がどちらも圧勝で2年連続日本COTYを受賞。他のメーカーがちょっと雑魚過ぎるのかもしれないけど、Bセグコンパクトの「ノート・オーラ」はCX-5の価格帯で、軽自動車の「サクラ」はMAZDA3の価格帯で、他社とは目の付け所が違う。これだけ余裕の設計なのだからCOTY受賞も当然だ。せっかく新車を買うならば、開発にコストがしっかり割り当てられているクルマを買いたい。アメリカや中国で量販されているクルマを無理やり日本向けに仕立てるやり方とは一線を画している。

 

 

 

信号地獄と上手く付き合う

グローバル戦略車「ローグ&キャッシュカイ」の日本仕様となる「エクストレイル」も手が込んでいてe-POWER専用車となった。福島県で作られているVCターボエンジンを搭載したモデルが北米市場では主力になっていて、導入を期待する声もあったが、日本では頑なまでに販売しようとしない。信号が町に1つしかないような地域(ドライビング天国)にお住まいの方には恐縮だが、「高温多湿」な上に「信号&渋滞地獄」が日常の日本市場では、駆動用としてのVCターボはリスクが大き過ぎるのかもしれない。

 

深夜と早朝しか走らない(走れない)ドイツ車乗りや広島車乗りと違って、日産ユーザーは健全な日常を過ごす人が多く、日中の所用をクルマで次々とこなす上で最適なユニットとしてe-POWERが主力になっている。ハイウェイ巡航は欧州や北米より少なめで、その分山地が多い国土のアップダウンを考えると合理的な判断ということになるのだろう。ドイツ&広島勢には代わりにディーゼルがあるけど・・・。

 

 

 

6気筒の燃費

某雑誌で「エクストレイル」「アウトランダー」「CX-60直6D」の比較が行われていた。燃料を使ったモード燃費ではアウトランダーが相当に悪いけど、自宅で充電できるならば、利便性と燃費の両面で合理的な判断ではある。ガソリンを使うe-POWERのエクストレイルだけど、一般道においても軽油の6気筒CX-60にわずかに負ける。高速道路が苦手なe-POWERの燃費は激落ちのようで当然ながらCX-60が圧勝する。しかしストップアンドゴーを避けられない地域にお住まいの方には、運用上の精神衛生的にもエクストレイルが最も望ましいのかもしれない。

 

e-POWER専用車となったエクストレイルのターゲットは、東京や神奈川にお住まいで、県境を超えるような旅行にはビジネスクラスの飛行機か、グランクラスの新幹線を使うようなリッチなライフスタイルの人で、日産に限った話ではないけど「貧乏人は完全無視」なので、マーケティングに引っ掛かってくる高所得な人々向けの都市型SUVなのだろう。全長が15kmほどしかない第三京浜や空港までの1号線、湾岸線くらいの高速なら我慢して使うけど、関東地方の域外にはクルマでは行かない、東京&神奈川以外の関東5県も特に用事がないから行かないような人にオススメのユニットだろう。

 

 

 

 

メーカーの個性

MAZDAの幹部が言っていたが、クルマ作りの基本は地元の広島の人の利便性だそうだ。雨が少ないからオープンのロードスターを出せるし、高速道路を使った長距離需要は全てのクルマで意識している。そして不謹慎な話だけど、近年の中国地方は水害が非常に多いので、冠水路面に強いSUVに力を入れざるを得ない。本当はドイツ車みたいなクーペルックのSUVを作りたいけど、最低地上高は妥協できない・・・。

 

広島の人々の日常がわかる立場ではないけど、東京の人が千葉や西伊豆に行く感覚で、大阪や福岡にご飯に行くのだろうか。鳥取カニ、山口(下関)のフグも余裕の日帰りコース。秋吉台四国カルスト、あるいは阿蘇やまなみハイウェイまでも気軽に走りに行ける距離である。「お出かけ」のクルマだからデザインもとことんコダワルようだ。関東近郊でも休日に伊豆を走れば目立つ県外ナンバーはメルセデスMAZDA、ポルシェばかりになった。

 

 

 

 

クルマで長距離走るな!!

広島と神奈川ではメーカーの事情も大きく変わってくる。人口密度が高いので日中にクルマで外出すれば渋滞は避けられない。中華人民共和国の都市部やカリフォルニア州のように、空気をキレイにしたいインセンティブが働く。渋滞からのゼロ発信の時に容赦なく出される黒煙を放置し続けたとして、国の管理責任を問い賠償をもぎ取った歴史的訴訟もこの県で起きている(川崎市)。e-POWER排気ガスを出さないわけではないが、動き出しのハッキリと汚い排気ガスを軽減してくれる効果は期待できる。

 

e-POWERは加速が鋭くて走りが楽しいだけでなく、モーターの加速と回生ブレーキのおかげで信号地獄の街中でもそれなりの燃費を維持できる。この2つのメリットを掲げつつも車両価格が大幅に上がらないように配慮された点が人気である。搭載モデルはノート、キックス、セレナ、オーラ、エクストレイルと拡大した。いよいよエンジン車のマーチは廃止され、商用車以外の普通車はエルグランド、スカイラインなどの上級モデル以外はe-POWER化が完了した(セレナのみガソリン車あり)。

 

 

 

静粛性が素晴らしい

新型エクストレイルでは、静粛性の向上とインテリアの高級化がかなり強調されている。他社の日本向けSUVは、北米モデルより排気量を下げたエンジンを使って価格を抑えているケースが多く、車重に比して非力なために負荷がかかったエンジンが騒がしく、CVTからも異音が出る。トヨタなどはHVを買ってもらうためにわざとやっている節もある。車体は大きいけど走りはギリギリなので、ちょっと安っぽいフィーリングに陥りやすい。そんな日本向けSUVの弱点をe-POWERは見事に解消している(高速燃費以外は)。

 

先代のエクストレイルは長いライフサイクルの中でインテリアのバージョンアップが図られてきた。発売当初は気軽な「道具」というコンセプトを掲げ、良い意味で簡素さを感じるインテリアだったけど、ミドルSUVが「シティカー」として広く認知されるようになると、都会的な「モダンリビング」なモノトーンの色合いのインテリアへと変わって行った。新型もこの延長線上にある。

 

 

 

 

もっと個性があっても・・・

日本では廃止されてしまったジュークの初代モデルは、原色に近い色合いのコンソールを使うなど、MINIのような世界観を打ち出していた。後継となったキックスでも採用されている。その影響下にあったのが初代ホンダ・ヴェゼルでオレンジを効果的に使った内装が印象的だった。初代ジュークが開発されていたのはリーマンショック前で日本でも賃金上昇気配があり、若者のクルマ需要を呼び起こすことを狙ったのだろう。ちなみにこのクルマは欧州では破格の大ヒットを遂げていて、かの地でのSUVブームの立役者とされている。

 

今では初代ジュークのカラフルなインテリアが、スズキ、ダイハツ、ホンダなどの軽自動車のトレンドになってしまった。RAV4、ハリアー、2代目ヴェゼル、新型エクストレイルも、インテリアに関しては、MAZDAの影響下に収まった。カラフルさを排除し、モノトーン主体で服を選ぶようになった20〜40歳代の人々の格好に合うインテリアが当たり前になった。カラーコーディネートとしては整っているけど、これを「高級化」と表現していいのか!?ユニクロっぽくないか!?