スポーツカーが世界から消えた日
免許を取ったばかりの15年くらい前を思い出すと、日本を代表するスポーツカーが次々と廃止になりミニバンとリッターカーばかりが売れる時代だった。バブル崩壊&中国のWTO加盟で大きな軌道修正を余儀なくされた日本の自動車メーカーにとってスポーツカー開発ほど優先順位が低いものはなかったのだろう。排ガス規制を態のいい理由にして、スカイラインGT-R、スープラ、シルビア、RX-7など一世を風靡したモデルが一気に消えていった。
世界のメーカーからクリエイティビティが失われた
その後もNSX、S2000、ランエボ、WRXなど世界のトップレベルのスポーツカーはいくらか存続していたけども、手軽に買えて乗れたセリカ、MR-S、ロードスター、RX-8はどこか「オモチャ」な感じが拭えなかったせいもあって、あまりといかほとんど興味が湧かなかった。当時の憧れのクルマは何を隠そう『E39型M5』でした。
技術✖︎意外性・・・それから
当時はBMWが技術的に優れていると思い込んでいた部分もありますけども、V8自然吸気にマニュアルミッションのフルサイズセダン。今のBMWからは全く想像できないし、今のBMWには全く期待できないような優れた設計でしたね。繊細なエンジンにゴシックなボデーの組み合わせは、輸入車に1500万円をつぎ込むのはごくごく当たり前のことだと思わせるくらいに強烈だった。いわゆるエンジンもボデーも一部のモデルを除いて日本車が全く敵わない時代だったような気がする。
トヨタからポルシェが生まれる・・・
しかしそんな時代に経営難のポルシェの救世主と言われる元CEOヴィーデキングはトヨタを徹底的に研究したらしい。ポルシェを世界一壊れないブランドと呼ばれるまでに成長させたのもなんだかよくわかる。928を廃止し、ボクスターを作る。マツダロードスターではなくてもしかしたらMR2に影響を受けている可能性もある。
迫力はあるけどリアルではない
30歳を過ぎてどんなスポーツカーに巡り会えるのだろうかと楽しみにしているけども、市場に増殖しているのはちょっとばかりイメージとは違ったクルマばかり。排ガス規制を言い訳にして、量販車向けの汎用の排気量が制限されたエンジンを使い、失われたダイレクト感を補う意味でスピーカーからエンジン音を発する仕掛けなんてのが使われている。さらに2ペダルモデルのタコメーターは、もはやダミー化していて某ドイツブランドでは、演出なんだろうけどもシフトチェンジよりも早いテンポで過激に動くようになっている。もう家でグランツーリスモやってればいいってことか・・・。
リアルじゃないモデルは詐欺みたいなもんだ・・・
スポーツカーにファッション性など期待されていない。もしかしたらメーカーはオシャレで買う人がいると見込んでいるかもしれないし、実際に勘違いして買う人もいるかもしれないし、モテないことに気がついてすぐに売る人もいるだろうし、その結果として中古車相場が崩壊しているモデルも・・・。
フェラーリは正しい
バカみたいな言い方だけどさ、スポーツカーはひたすらに『本質』で勝負しなければいけない。911シリーズがもしBMWのように回らないエンジン、スピーカーからエキゾースト、タコメーターいじりなどに手を染めたらもう終わりだ。そんな詐欺まがいのファッション性で売れるクルマはせいぜい800万円くらいまでだろう。ファッション性を求めるならば、そこはポルシェではなくランボルギーニだと思う。イタリア人のビジネスは筋が通っている。存在理由も明確だ。我々は自然吸気V10が良いと考えている。レスポンスを犠牲にせずに600psを引き出すことがクルマの価格が正当であることを示している。
911はモテる/モテないの中間に位置している
3000万円のローンを組ませるクルマなのだから、まあ全てが違う。排ガス規制とかメーカーのたわごととか聞こえてこない。新しいPORSCHE911はいくらくらいするのだろうか!?1500万円!?結局はこのシリーズがスポーツカー全体の分水嶺だ。これより高価なモデルはスーパースポーツ/スーパーカーとか呼ばれ、スイスの機械式時計のような所有する喜びを追求している。周囲の人に見られてなんぼのモデル。田舎で所有してもあまり意味はない!?
スポーツカーが売れたら・・・天才がそこにいた
911より安価なモデルこそが、日々のドライビングを通じて広く親しまれるべきスポーツカーなんだろうけども、エンジン、ミッション、車体のトータルバランスを考えた時に、「これはクラウンやカローラのハイパフォーマンスモデルとは違います!!」とはっきり断言できるモデルはどれだけ残っているのだろう。
E39型M5を超えていくモデルが・・・
わずかに残された86/BRZ、ロードスター、シビックtypeR、WRX・STIといった面々に、今の大学生が憧れを持っているというのだろか!?そこには『E39型M5』のような自動車の概念そのものを大きく変えてくれるようなスケールの大きいモデルは存在するのだろうか!?(我ながら表現力が乏しくて情けない・・・)
ホンダは・・・
ホンダは2代目NSXで、温めていたイメージが巨大だったことを示してますけども、これは「スーパーカー」というフォーマットをなぞっただけな気がする。アウディR8みたいなNSXなんて誰も望んでない。ホンダに限った話じゃないですけども、プレリュード、S2000、インテグラtypeRの後継モデルを復活させたところで・・・それはVWが「ザ・ビートル」を作ったみたいなものだ。だけどホンダにはシビックtypeRがあるさ。このクルマは今や911に近い輝きを持っている。
992は・・・
あまりにモード全開でカッコ良過ぎた991に対して、隙はないけどもよりシンプルでストイックなデザインになった。スポーツカーには過度な艶かしさは要らないし、10年経ってもオーラを保つ日産GT-Rのクレバーなデザインに対抗するという意味では、991よりも992に好感が持てる。リアデザインは一瞬「空冷ポルシェ!?」と思わせるような80年代的な要素が取り入れられている。あのレトロなリアデザインを見て欲しくなる人は確実にいるはずだ・・・。
「ポルシェの軌道修正」
日産 フェアレディZ、新型の開発が進行中!? 2019年東京ショーでの発表はあるか https://t.co/4fsJADvOs9
— CARDRIVEGOGO (@cardrive55) 2018年9月15日
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