９６８はなぜ消えた！？
1995年に突如として生産を終了したFRのポルシェ。ベースとなる９２４、９２８の二世代２０年。最終発売モデル９６８は発売されてまだ２年あまりだからよっぽどの事情があったのだろう。当時のポルシェは倒産が現実のものとなるくらいの危機的状況でした。アメリカ連邦議会でRR車の危険性がやり玉に上がる。それはアラバマ周辺からのロビー活動だったかもしれないけど・・・。
RRバッシングの中で
RRが危険だ！！と言われてFRの方を廃止するポルシェの決断にファンは痺れるらしい。356由来のオリジナルRRと、『トランスアクスル・ポルシェ』と呼ばれるFRのどちらかを整理して、ミッドシップのオープンスポーツを作ろうという経営判断で、もし選択を間違えていたら、ポルシェは潰れていた可能性が高い。『RRはダメ』と言われ、それに従ってFRを残していたら、日本やイギリスの強力なFRスポーツカーの前に敗北していたのでは！？
復活する！！
間違いなくポルシェとアウディが秘密裏に開発している新型FRスポーツカー。このまま放置すれば中国市場の王座をメルセデスかBMWに明け渡すことになりそうなアウディの状況を考えれば、次の一手はFRスポーツ。メルセデスはSL&SLC用に専用設計シャシーを完成。BMWもトヨタとのジョイントで専用設計シャシーを手にいれた。
成功のハードル
元々『トランスアクスル・ポルシェ』初号機924は、アウディに生産が委託されたモデルであり、ポルシェとアウディの共闘で復活することは、本当の意味でのリバイバルといっても良さそう。FRスポーツというどこにでもある設計の中で、すでに門外漢になりつつあるポルシェ&アウディが新たに立ち回るには勝機があるのかは不明だけど。
９０１ってなんだよ
誰も表立って言うことはないけど、トランスアクスル・ポルシェは、日産のZと240SX(北米版シルビア)あるいはマツダのRX7によって完膚なきまでに叩かれた。『901運動』ってのはネーミングから完全にポルシェを揶揄していた！？ ポルシェの常識が全く通用しないイケイケ状態の日本勢もその後にスポーツカービジネスの曲がり角に突っ込んでしまう。
身の程知らず
1995年に突然に直４ターボFRのポルシェが消えると、日産もマツダも浮き足立つ。バブルの引き潮に晒され、新しいプロジェクトが組めないままにそれぞれルノー、フォードへ身売り。『世界の頂点』を合言葉にしていたはずが、ポルシェが消えてみると、そのラインナップは不良債権でしかなかった。世界最高性能の不良債権とはタチが悪い。
「安くて高性能」の失敗
大企業を辞めた時に個人としての実力の無さを初めて知るオッサンじゃないけど、バブルで浮かれた日産、マツダは「自動車文化」を牽引するだけの力がなかったことを、ポルシェのFR撤退で知る結果に。「ポルシェより安くて高性能」というコピーは幼稚園児でもわかる理屈だけども、それが間違っている事はバブル期の日本人ビジネスマンにはわからなかった。ポルシェに依存したマーケットでしかない。水野さんはポルシェと並列の関係になろうとGT-Rのブランディングに勤めたけど、結局は911ターボに比べてGT-Rは「安くて高性能」でしかなかった。
熱狂
「ポルシェってなんなの！？」・・・一説によると偶像崇拝だと言われている。「RR神話」と「水平対向神話」を組み合わせた「知財的」プロダクション。つまり一人で歩き出す勇気と、「自由」を体現する天衣無縫な設計に、マニアが絶叫する宗教的な企画なんですね。落日の自動車業界で今も続くミサ。そこに参加するために世界中の男たちは馬車馬のように日夜働く。
日産とマツダ
日産やマツダの積み重ねた年月は、決して無駄ではないし、今日も世界のどこかで240SX、370Z、MX5のミーティングが開かれているんじゃないの！？ 「サバンナとスカイライン」の相克に、ふらりと舞い降りた「928」・・・もう自作自演でもいいから再び「鼎立」の熱狂が巻き起こすグルーヴを21世紀に再現して欲しい。
安っぽくならないよーに
幸いなことに「シルビア」「RX９」「929」がトヨタ８６のヒットに誘われて復活の噂がある。400〜600万円台のレンジで米・中・日・欧のマーケットは潜在的な需要があると思われる。ただし、３メーカーがどれだけ注力できるかがブームを呼べるかどうかのカギになりそう。S660やアバルト124スパイダーあるいはボクスターは、失礼だがスポーツカーとしての「大事なもの」が足りていないのかもしれない。
